東日本大震災

  • Check

梅雨 仮設住宅に不具合 側溝あふれ、雨漏り

常時排水がたまったままの側溝=新地町福田の応急仮設住宅

 梅雨入りとともに県内の応急仮設住宅の不具合が表面化し、各地で「側溝から水があふれそう」「雨漏りがする」など改善を求める声が上がっている。まとまった雨が降った23日、新地町では仮設住宅の生活排水が流れ込む側溝の水があふれそうになり、福島市などの仮設住宅では雨漏りが起きた。一般住宅と同じような住環境を確保するのは難しいものの、故郷を離れて新生活を始めた入居者はやりきれない思いを募らせている。
 「水があふれ出すと悪臭がひどい」。新地町福田の応急仮設住宅で暮らす同町埒木崎の無職岡崎仁平さん(84)は23日午後、雨上がりで雨水がたまった住宅脇の側溝を不安そうに見つめた。
 側溝は勾配がほとんどなく、仮設住宅建設前から水がたまりやすかった。今度は仮設住宅からの生活排水も流れ込み、大雨が降ると側溝から水があふれる状態だ。「大津波が自宅を襲った」。水への不安が再び頭をよぎる。
 福島市飯坂町平野の仮設住宅群には約80世帯の浪江町民が入居している。同町請戸の女性(58)宅は、軒先が短く、雨どいもないため、南側の窓の隙間からも雨が入り込む。「電気代がかさむのでエアコンに頼れない。夏場は雨の日も窓を開けたいけど、とても無理」と嘆く。いわき市でも市内中央台の仮設住宅で玄関の雨漏りが起きている。
 仮設住宅に関する苦情は、建設主体の県に寄せられただけでも今月10日現在、64件に上っている。内容は換気扇や窓の隙間などから強風にあおられて雨が入り込むなど雨漏りが最も多いという。
 不具合は排水面や雨漏りにとどまらない。
 相馬市には「床がゆがんでいる」などの苦情の電話が毎日10件程度かかってくる。二本松、南相馬、桑折、国見の各市町などの仮設住宅でも苦情が出ており、内容は「壁が薄く、隣りの住民の生活音が聞こえる」「家の隙間からアリが入ってくる」など多種多様だ。
 浪江町請戸の会社員女性(50)は、入居先の福島市笹谷の仮設住宅は窓が1枚ガラスなのに、市内の別の地域は2枚ガラスだったと指摘する。「同じ仮設住宅なのに違いがあるのはおかしい。不公平では」と疑問も投げ掛けた。

■費用抑え建設期間短縮 県「可能な限り問題に対応」
 県によると、仮設住宅は一般住宅と比べて建設費を抑え、建設期間も短縮している。急ピッチで工事を進めた影響で一部で雨漏りなどの不備が生じているのが実情だ。
 排水路などインフラが十分整っていない場所であっても、避難者に速やかに仮設住宅を提供する観点から建設地に選ぶケースもある。
 建設に際しては快適に過ごせる最低限の仕様基準を定めているだけで、細かい設備内容や外観などは受託業者によって異なる。会津地方のある業者は「将来的な受注を期待し、国産材を使うなど採算度外視で仕様を高める努力をしている」と話すなど、仮設住宅の住環境に「差」が出かねない状況ともなっている。
 県土木部の担当者は「一般住宅よりも、ある程度は仕様が落ちたりするのもやむを得ない面もある」と明かす。その上で「今後も業者を適切に指導したり、問題があった場合は改善を求めるなど可能な限り迅速に対応したい」としている。
 仮設住宅は県が市町村の要望を受けて建設する。23日現在で1万2507戸着工し、このうち8701戸が完成した。規模は1DK(約20平方メートル)、2DK(約30平方メートル)、3K(約40平方メートル)のおおむね3種類。

東日本大震災の最新記事

>> 一覧