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福島県産牛出荷停止 失望、衝撃戸惑う農家 安定経営が一転 浅川の農業法人代表「原発事故なければ」

 福島県浅川町の畜産農家が出荷した肉用牛の肉から放射性セシウムが検出された15日、県内農家に衝撃が広がった。出荷した農家は「原発事故がなければ、こんなことにならなかった」と肩を落とした。一方、放射性物質が付着した稲わらを出荷した白河市の農家団体は「原発から80キロも離れているのに…」とぼうぜんとする。肉用牛のブランド化が進む県内。政府が県内全域の出荷停止の方針を固めるなど畜産業が揺らぐ事態に農家は困惑し、全頭検査の速やかな実施を求めた。
 「もう絶望的だ」。放射性セシウムが付着した稲わらを牛の餌に使っていた浅川町の農業生産法人代表の50代の男性は悔しさをあらわにした。12年前に法人化し200頭弱を育てている。「原発がなければこんなことにはならなかったのに…」。男性は天を仰ぎ、表情を曇らせた。
 汚染された稲わらは3月末から4月上旬にかけ、白河市の稲作農家でつくる白河有機農業研究会から複数回にわたり仕入れ、屋根付きの畜舎の通路で保管してきた。研究会との取引は約10年。「長い付き合いで信頼していた。汚染が分かっていたら当然仕入れないし、向こうも出荷はしない」と語る。
 しかし、南相馬市で牛の餌から暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたのを知り、不安になった。友人から借りた線量計で稲わらの放射線量を測ってみると高い数値が出た。「驚いた。(正式な検査結果が出た)14日の夜はご飯が喉を通らなかった」  法人化後、農家仲間の支えで安定した経営ができたという。「みんなに迷惑をかけてしまった。食べた人に健康被害がないことを祈るのみです」。苦渋の表情で絞り出した。
 浅川町を含む石川地方では地元産の和牛を「いしかわ牛」としてブランド化し、売り出す動きが活発化している。いしかわ牛商品開発検討委員会の榊枝義二委員長は「今回の影響がどう出るか、まだ見えないが、消費者に安心して肉を食べてもらえるよう早期の全頭検査が必要だ。検査を急ぐよう県などに求めるしかない」と戸惑いを隠さなかった。

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