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汚染牛対策で国に怒り 農家「餌代にもならない」 

出荷時期を過ぎた牛の健康管理に気を配る中川さん。国が支援策とする1頭5万円の交付に「納得できない」と憤る=喜多方市

 「現場の窮状が全く見えていない」。国が汚染牛肉への緊急対応策を発表した26日、出荷停止を余儀なくされている県内の畜産農家や関係者から怒りの声が噴出した。1頭当たり5万円の交付は救済には程遠く、「これでは餌代にもならない」との不満が渦巻く。全頭買い上げを求める訴えも届かず、関係者のいらだちは募るばかりだ。
 「到底納得できない」。41頭の肉牛を育てる喜多方市塩川町の中川幸谷さん(69)は憤りを隠さない。
 中川さんは、1頭約50万円で仕入れた子牛を20~24カ月かけて育て、東京都や郡山市の市場に1頭当たり約120万円から200万円で出荷してきた。この間に要する餌代は1頭当たり約35万円。国が示した1頭5万円の交付額では、わずか3カ月分にしかならない計算だ。
 肉牛の取引価格も大幅に下落している。中川さんが出荷する最高級品質「A5」ランクの牛肉は震災前、1キロ当たり約2300円だった。しかし、原発事故後は1800円程度と2割以上も落ち込み、1頭当たり40万円の損失が生じている。
 それでも、7月に出荷を予定していた牛にビタミン剤を与えるなど肉牛の体調管理を続けている。「朝晩2回の餌やりも張り合いがない。出荷停止が続くなら今年出荷予定だった20頭を全て買い上げてほしい」と訴える。
 約50頭を飼育している大玉村の60代男性も「5万円は少なすぎる」と語気を荒げる。1カ月の餌代だけで約80万円かかり、出荷停止が長引けば廃業もありうる状況という。牛には原発事故前に収納した稲わらを与えており「汚染はないと断言できる。出荷できずに悔しい」と唇をかむ。
 不満や不安は肉牛の生産農家だけでなく、生産農家に子牛を出荷する繁殖農家にも広がっている。玉川村の繁殖農家の車田幹夫さん(62)は「消費者の信頼回復のため、出荷する肉を全て検査して市場に出すシステムを一日も早く確立してほしい」と願った。

カテゴリー:福島第一原発事故

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