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今を生きる 友へ祈りのねぷた 似顔絵と花鮮やかに

萌子さんが大好きだった桜やヒマワリをねぷたに描く生徒

 須賀川市長沼の農業用ダム・藤沼湖の決壊により命を落とした長沼中生、林萌子さん=当時(14)=への思いをつなぐ「ねぷた」が日ごとに華やかさを増す。大好きだった桜とヒマワリの絵が大きな和紙を鮮やかに染める。「亡き友をいつまでも忘れない」。長沼中3年の同級生が心を1つに「ねぷた」を制作している。9月10日に地元で開かれる「第27回長沼まつり」で萌子さんにささげる。
 長沼中の2年生だった萌子さんは明るい笑顔を絶やさず、みんなから慕われていた。学校の文化祭では実行委員会に加わるなど学校行事にも進んで参加した。
 東日本大震災で決壊した藤沼湖からあふれ出た濁流にのみ込まれ、約1カ月後、湖から約40キロ離れた二本松市の阿武隈川で変わり果てた姿で見つかった。
 萌子さんは1年生の時に長沼まつりで踊って以来、毎年楽しみにしていた。思いを胸に刻み、3年生55人が夏休み返上でねぷたづくりに励んできた。
 「萌子さんが永遠にみんなの心の中で光り続けてほしい」との願いを込め、桜とヒマワリの絵の中に「永心萌光」(えいしんほうこう)の造語を書き入れた。今後、ヒマワリ柄の浴衣を着た萌子さんの似顔絵を中央にあしらい、3年生全員の名前を記す。「友情の印に」と萌子さんの名前も添える。
 扇型の骨組みに貼り合わせ、台車に乗せて完成させる。大きさは高さ約5メートル、横幅約3.5メートルに達する。
 当日は長沼地区の金町通りに弘前方式の扇型のねぷたと青森方式の人形型のねぶた数台が繰り出す。3年生は鎮魂の祈りを込めてねぷたを引き、踊る。
 藤沼湖の決壊では、萌子さんを含む7人が亡くなり、幼児=当時(1つ)=1人がいまだに行方不明になっている。被害の爪痕は大きく、長沼まつり自体の開催が一時危ぶまれた。古里の1日も早い復興への願いも込める。
 幼なじみの柴田将成君(15)は「天国の萌子にみんなの声が届くよう、まつりを精いっぱい盛り上げたい」と意気込む。
 一ノ瀬直市校長(54)は「生徒が明るく元気に踊ることが供養になる」と話す。
 母喜恵さん(40)は「萌子は友達に恵まれ、本当に幸せだったと思う」と同級生1人1人に感謝する。

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