東日本大震災アーカイブ

「県民被ばくリスク低い」 福島で放射線の専門家国際会議 専門組織結成求める

放射線と健康リスクについて話し合った国際専門家会議

 東京電力福島第一原発事故を受け、世界14カ国・2国際機関の放射線医学や放射線防護学の専門家による国際会議が11、12日の両日、福島市の福島医大で開かれた。会議で県民の放射線被ばくの健康リスクは低いとの見解が相次いだが、県民に不安が広がっている現状を踏まえ最終日に「科学者や医療関係者は、放射線の影響を住民に説明するのに最大限努力する必要がある。リスクの評価や、政策決定では透明性が不可欠」とする提言をまとめた。

 提言は「福島では避難や食品の規制が速やかになされ、チェルノブイリ原発事故に比べ住民の健康影響は小さいとみられる」と指摘。さらに、長期的な対応や、放射線の影響について統一見解を出すため、政府や自治体、国際機関や医師ら全ての関係者が加わる組織をつくることを求めた。

 会議は日本財団の主催、福島医大などの共催。国連科学委員会(UNSCEAR)、国際放射線防護委員会(ICRP)、国際原子力機関(IAEA)、世界保健機関(WHO)などで活躍する国内外の研究者ら約30人が研究成果などを報告した。

■心のケア重要性強調 最新研究成果を報告 放射線専門家の国際会議

 11、12の両日、福島市の福島医大で開かれた放射線医学・防護の国際専門家会議では、放射線による健康影響や安全防護、チェルノブイリ原発の教訓など幅広いテーマで最新の研究成果や知見が報告された。

 この中で米国のストーニーブルック州立大のエヴェリン・J・ブロメット教授はチェルノブイリ原発事故では地元住民に精神面のリスクが高まったとして、県民の精神面のケアの重要性を指摘。「体と同じように心の健康も注意深く見守り、対応していくことが必要」と強調した。

 会議終了後の記者会見で国際会議の組織委員を務めた山下俊一福島医大副学長は「世界の英知が福島県に集まって議論してメッセージを発したことで、不安払拭(ふっしょく)が期待できる。県民健康管理調査の方向性についても外部の目で評価され、正しさが確認できた」と成果を強調した。研究者らは13日、県内被災地を視察する。

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【写真】放射線への不安を払拭するための提言をまとめ、会見する山下副学長(右から2人目)と研究者

カテゴリー:福島第一原発事故