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今を生きる 故郷の味で元気提供 なみえ焼そば仮設住宅に

仮設住宅の利用者に懐かしい味を届けた組合員ら

 仮設住宅に焼きそばのソースのにおいが立ち込めた。県中華飲食業生活衛生同業組合に加盟する浪江町の組合員らが19日、町民らが避難している桑折町の桑折駅前仮設住宅を訪れ、名物のなみえ焼そばを振る舞った。ふるさとの味を求めて多くの人たちが行列をつくり、約700食はあっという間になくなった。事務局を務める長岡惣一さん(71)は「浪江復興のためにこれからも頑張っていきたい」と話している。

 浪江町の組合員の多くは東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴って避難を強いられ、営業を再開できない人が多い。このため被災した組合員でグループを結成。組合の支援を受け、1日も早い営業の再開とふるさとの復興につなげるため町民が住む仮設住宅でなみえ焼そばを振る舞う事業を企画した。町内で飲食店を営んでいた長岡さんも呼び掛け人の1人となり、5カ所目の避難先となった福島市のアパートを足場に仲間に電話連絡をするなどして事業実現のために奔走した。

 19日は福島市や二本松市などの避難先から集まった組合員10人をはじめ浪江町商工会員ら10人も協力した。二本松市で再出発を図った「杉乃家」の芹川輝男さん・春子さん夫婦をはじめ組合員らは独特の太麺にモヤシや豚肉をたっぷり入れて炒め、ソースで味付けして焼きそばを仕上げた。会津若松市の仮設住宅から駆け付けた井戸川商店の井戸川正伸さん(57)は「避難先では営業はできない状態。しかし、下を向いてばかりもいられない。食を振る舞える幸せをあらためて感じる」と調理に汗を流していた。

 焼きそばを味わった浪江町の松本サキ子さん(72)と前田ヒデ子さん(74)は「地元ではよく食べていた。ほっとするね」と笑顔を見せた。「こうしてみんなが集まることができるのも焼きそばがあったからこそ」。長岡さんらは今後も各地の仮設住宅を回ってふるさとの味を届ける予定だ。

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