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ふくしまの地酒は安全・安心 県酒造協組、独自に線量調査

 東京電力福島第一原発事故の風評被害が多方面に広がる中、県酒造協同組合(理事長・新城猪之吉末広酒造社長)は、今年産酒米を使った日本酒の放射性物質検査を独自に3段階で実施し、安全性をアピールする。新酒造りが本格化するのを前に23日までに準備に入った。加盟67蔵元に測定機器を貸し出したり、検査費を補助したりして未検出の地酒にお墨付きの証明書を発行する。24日には会津若松市で各地の酒販業者や消費者ら2000人規模の全国大会を開催し、風評被害の払拭(ふっしょく)と販路の拡大を目指す。

 検査は原料、水、製品の3段階で放射性物質が含まれていないかどうかを調べる。

 原料となる酒米は県のコメの検査対象となっており、玄米から放射性物質が検出された場合、白米にして再度調べている。この際の精米率は10%程度で、これまでに放射性物質が検出された例はない。酒米はさらに50~70%の割合まで精米するため、組合側は放射性物質が含まれている可能性はないとみているが、独自に検査することで安全性を訴える。仕込みに使う水も調べ、醸造後に最終検査して出荷する。関連予算として300万円を確保し、証明書には検査結果を記す。顧客や販売店の求めに応じて提示する計画だ。

 全国大会は「日本酒で乾杯推進会議福島大会」と題して24日、会津若松市の鶴ケ城周辺などで開催する。日本酒造組合中央会の主催、県酒造協同組合の主管、会津若松市の共催。午後6時半から「荒城の月大宴会」と銘打ち、鶴ケ城本丸に約2000人が集まって日本酒で乾杯し、風評被害の払拭を誓う。

 これに先立ち、午後3時半から会津能楽堂で基調講演やパネルディスカッションを繰り広げる。

受注低迷懸命の売り込み

 県内産の地酒の受注は汚染牛肉問題などのあおりを受けて低迷している。県酒造協同組合によると、東日本大震災後は首都圏を中心に復興需要が高まり、出荷量ベース(純米・純米吟醸酒)で5月は前年同月比120%、6月は110%で推移した。しかし、牛肉問題が起きた7月は99%に落ち込んだ。

 県内大手の酒類卸会社「県南酒販」(本社・郡山市)では7月以降、首都圏の企業などからの注文が減り、現在はほとんど引き合いがない状態だ。昨年産米を原料にした製品でさえ受注がほとんどなく、佐藤洋一営業本部副本部長兼営業統括部長は「福島産というだけで敬遠されている」と現状を明かす。

 県内も振るわず、会津若松酒造協同組合によると、宴会などで飲まれる普通酒の需要は「例年の7~8割程度」(岩沢庄司同組合専務理事)という。

 県酒造協同組合は今月2日に東京都内で試飲会を開催するなど県産酒を強く売り込んできた。

 阿部淳専務理事は「首都圏などの大消費地だけでなく、県内の各種イベントに積極的に出店して県内の消費者にも安全性を訴えていきたい」としている。

蔵元、基準厳格化の動き

IP110923TAN000174000_00.jpg 県内の蔵元では、放射性物質を独自に検査する動きも出ている。郡山市田村町の老舗蔵元・仁井田本家は、未検出か検出限界値以下の玄米のみを酒米として精米する「自社基準」を設けている。

 酒米は全量を地元の自社田や会津地方などの契約農家から仕入れ、「無農薬・無化学肥料で栽培した自然米」を売りにしている。しかし、販売店から「玄米レベルで(放射能値が)ゼロでないと売れない」との助言を受けたためだ。仁井田穏彦(やすひこ)社長は「安全安心にこだわった自然米が原発事故で逆の評価を受けかねないという皮肉な状況だが、消費者の動向を見ると可能な限り対応する必要がある」と話している。

 二本松市の大七酒造は酒米を会津地方と富山、兵庫両県の契約農家から仕入れている。放射性物質の対応では厳格な自主基準を設け、酒米と出来上がった商品について第三者機関の検査を受け、安全性を証明する資料をホームページなどで公表することを検討している。

【写真】自社田の酒米を手に安全な酒造りを誓う仁井田社長

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