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【観光賠償】減収設定に不満 基準、他県と同じ

賠償の算定基準などを説明した会見であらためて原発事故について謝罪する皷副社長(中央)

 東京電力が福島第一原発事故の賠償金支払いについて、法人・個人事業主の算定基準を発表した21日、事業者からは前年度の売上高に対する減収分の設定方法などに不満の声が広がった。

■賠償額から除外

 会津若松市の東山温泉でくつろぎ宿千代滝新滝を営む深田智之さん(47)は「他県と全く状況が違うのに...」と疑問を投げかけた。

 観光業の風評被害算定で、東電は原発事故以外を要因とする割合を減収率のうち20%と設定し、賠償額から除外した。阪神大震災の観光業の被害状況から割り出した基準だが、茨城、栃木、群馬の3県と同じ割合を本県にも当てはめた。

 同旅館の県外からの修学旅行受け入れは今春、皆無だった。秋になっても昨年の2割にとどまる。団体旅行も3分の1だ。会津ブランドも原発事故が起きた「福島」の名前でかすむ。「少なくとも他県より原発事故の影響を重く見た基準にしなければおかしい」と本県は除外分をさらに減らすよう訴えた。

■事業再開

 福島第一原発から20キロ圏内の警戒区域の南相馬市小高区で自動車整備と中古車販売業を営んでいた志賀正幸さん(69)は3月末、相馬市で新たな店舗を構えて事業を再開した。

 避難指示による営業損害では、前年の売上高から賠償額を算定する。その際、賠償対象期間全てで休業していれば100%が賠償されるが、営業を再開した場合、利益に応じて賠償額は削減される。「少しでも前に進もうと仕事を再開したのに、働いた分だけ賠償額が減るなんて考えられない」と憤った。

■先送り

 警戒区域内に残してきた工場設備など資産に対する賠償は現段階で触れられず、先送りとなった。

 富岡町で看板製造業を営んでいた大和田剛さん(59)は警戒区域内に看板の裁断機や印刷機などを残してきた。三春町の借り上げ住宅で暮らしながら、避難時に持ち出したパソコンでデザインなど、できる範囲で仕事を再開したが、売り上げは100分の1程度。

 本格的な事業再開には機材が必要不可欠で、そのためにはまとまった資金が足りない。「いずれは残してきた資産についてもしっかりと賠償してほしい」と望んでいる。

■難解と批判

 21日に福島市で行われた東京電力の記者会見。個人向けの賠償金支払いの算定基準などについて、皷紀男副社長は「資料が難解で、分量が多過ぎると、厳しい批判を受けている」と認めた。

 「丁寧に説明し、納得してもらえるように進めたい」。膨大な分量となった請求方法の案内書を作り直すことは考えてないという。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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