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今を生きる 福島ブランド守る 風評被害に直面― それでも攻めの経営

製品の手入れをする仲田さん

■仲田種苗園(石川)仲田茂司さん
 石川町の植物生産業仲田種苗園の代表取締役仲田茂司さん(54)は震災後、風評被害と闘い続けている。製品の放射線検査を独自に行うなど福島の草花を守りたい一心で、攻めの経営を続ける。
 震災直後に休業した際、インターネットなどで情報収集をし、チェルノブイリ原発事故後に日本人が欧州の農産物などを敬遠していたことを知った。「福島の産品に風評被害が起きると予感した」。モミジ輸出の商談を進めていた中国の業者は震災1週間後に商談中止を通告してきた。東京都のある部署は福島の草花を集めた屋上緑化用の製品を納入する際に放射線検査を求めてきた。顧客のほとんどは県外。「やはり気にされているのか...」
 顧客の不安をなくそうと自主的に沢田、矢吹、鮫川各農場の土壌、水、製品の放射線検査を専門機関に依頼するようにした。製品に使う土は栃木県鹿沼市から仕入れた。4、5両月の売り上げは前年同期の半分だったが、6月から持ち直してきた。
 しかし、夏場に第二の風評被害に襲われた。京都の五山の送り火で岩手県の松が使われないことが決まった直後、東京のデパートから「大文字焼きの件もあるので...」と商談を打ち切られた。「安全かどうかでなく、ただ気持ち悪いという反応。また何が起きるか分からない」。安心できる状況はまだ遠い。
 昨年度、国の農商工連携事業に認定され、19日から21日に滋賀県で開かれる環境産業総合見本市に県内で唯一参加する。福島の草花を寄せ植えした製品などをPRするつもりだ。「福島ブランドを死守し再生したい」。美しい里山をつくる福島の草花が敬遠されることがないよう、風評被害という見えない敵と闘い続ける覚悟だ。

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