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今を生きる 古里の民謡歌い継ぐ 埼玉で10周年記念発表会 妹2人駆け付け踊り披露

ミツイさん(後方右)の歌で「相馬流れ山」を踊る孝子さん(左)と啓子さん

■浪江出身の藤柳会会主・加藤ミツイさん
 姉が歌って妹2人が舞う「相馬流れ山」に会場の拍手は鳴りやまなかった。浪江町出身の民謡藤柳会会主・藤本秀花満さんこと加藤ミツイさん(68)=埼玉県桶川市=と、妹で浪江町の松本孝子さん(65)、大熊町の木幡啓子さん(62)の古里を思う気持ちが、詰め掛けた600人余りの胸を打った。

 10日に埼玉県北本市で開かれた藤柳会10周年記念発表会。1年以上前から計画していたが、震災後、ミツイさんの心は揺らいだ。東京電力福島第一原発事故で故郷の家族は避難生活を送っている。「こんな時に発表会を開いていいのか」
 さらに矢吹町に避難した妹の孝子さんと同居していた母ミキイさんが5月に95歳で亡くなった。悲しみのあまり歌うのもやめようと思った時、母がよく口ずさんだ相馬民謡が脳裏に浮かんだ。「このままでは古里の風景や暮らしに根付いた民謡が消えてしまう。一刻も早い復興を願い、歌い継いでいこう」と決意した。
 発表会の演目を変更し、ミツイさんは「相馬二遍返し」と「相馬流れ山」を歌った。姉の気持ちを察し、孝子さんと啓子さんが避難先の矢吹町から駆け付け、踊りを披露した。衣装の陣羽織は約1カ月かけ、帯をほどいて手作りした。最後は出演者たちの「相馬盆唄」の大合唱。孝子さんらも再び舞台に上がった。

■募金呼び掛け町長に届ける
 会場ではミツイさんの孫たちが「がんばれ浪江町」と書かれた箱を手に募金を呼び掛け、9万3591円の善意が寄せられた。18日、孝子さんと啓子さんが浪江町役場がある二本松市の県男女共生センターを訪れ、馬場有町長に浄財を手渡した。発表会の様子を聞いた馬場町長は「皆さんの歌や踊りが、また古里で演じられるよう頑張りたい」と感謝した。

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