東日本大震災

「連載・今を生きる」アーカイブ

  • Check

今を生きる 避難先絆つなぐ 郵送で巡回6冊目 リレー震災回想記・小高区

小高区の住民がそれぞれの思いを記したノート

 南相馬市小高区の住民が震災時の様子や避難生活の現状をつづったノート「リレー震災回想記・小高区」が避難先を回っている。1人が率直な思いを書き、次の人に郵送する方式をとり、現在計6冊が県内外に避難した住民の元を巡回している。原発の事故で離れ離れになった人々の絆をノートが結んでいる。
 小高区は原発事故で全域が警戒区域となり、住民は全国各地に避難を余儀なくされた。ノートは理不尽な現実への怒りを書きとどめておかなければとの思いから高島敬一郎さん(80)、絹代さん(78)夫妻=埼玉県に避難=、渡部哲雄さん(80)=南相馬市原町区=が中心となって始めた。
 高島さん夫妻が震災当時の状況や避難生活、東電に対する怒りを書いて6月、渡部さんに郵送した。その後、もう1冊が別のルートで住民の避難先を回った。絹代さんが作った4冊も女性を中心に回覧している。すでに1冊当たり10人近くが書き込んでいる。
 「頑張れ、みんな怒りを」「晴れぬ長雨はない。そう信じて人生の危機を乗り越えていこう」-。近況のほか、励ましを記す住民も多い。避難先が分からず、知人の携帯電話を伝って無事を確認し住所を調べながら郵送している。
 高島さんは「私たちはなぜ避難しなければならなかったのか、怒りをぶつけるすべがなかった。過激なことも書いたが、今の状況はそれでも足りない」と書き始めた思いを語る。渡部さんは「顔は見えなくても、元気でいることが分かる。ノートは支え合っている証し」と話す。高島さん夫妻、渡部さんはノートがある程度埋まった段階で回収し、住民の声を何らかの形でまとめたいと考えている。

カテゴリー:連載・今を生きる

「連載・今を生きる」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧