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【中間貯蔵施設工程表】安心と懸念交錯 早期の除染期待

工程表の説明に聞き入る市町村長ら

■最終処分場に警戒感 市町村長説明会

 東京電力福島第一原発事故に伴う除染で発生した汚染廃棄物の中間貯蔵施設建設と最終処分までの工程表が示された29日、県内の首長に評価と懸念の声が交錯した。スケジュールがある程度見えたことに「仮置き場の設置が進む」との期待感が広がった一方、中間貯蔵施設の設置場所や将来の県外搬出が担保されるのかなど不透明な部分も多い。同日開かれた説明会では「国は責任を持って約束を果たしてほしい」との訴えが相次いだ。

■一定の評価

 「政府が仮置き場の保管期間を具体的に示したことを評価する」。県市長会長を務める福島市の瀬戸孝則市長は説明会後、一定の評価をした。大玉村の浅和定次村長は、除染の費用などを国が全て負担する姿勢を表明したことについて「安心した。これで遠慮なく除染が進められる」と歓迎する。
 伊達市は特定避難勧奨地点の除染作業を開始したものの、仮置き場の設置が難航している。仁志田昇司市長は「(いつまで廃棄物を置くのか)住民に説明できる」と話し、廃棄物処理の道筋が示されたことで仮置き場をめぐる住民の理解が進むことを期待する。仮置き場での保管期間が3年程度とされたことについては「短い方がいいが現実的」との認識を示す。

■厳しいスケジュール

 工程表では、中間貯蔵施設の設置場所を平成24年度内に選定するとした。見込まれる敷地面積は全体で3~5平方キロメートル程度と規模が大きく、住民の強い反対も予想されることから、「スケジュール通りに進めるのは厳しい」と受け止める首長は少なくない。
 東京電力福島第一原発が立地する大熊町では一部の町民から「除染のために中間貯蔵施設を受け入れてもいい」との声も出ている。しかし、渡辺利綱町長は「一つの町で判断することではなく、簡単に受け入れられるものでもない」と県全体での検討が必要との認識を示す。
 同じ立地町の双葉町の井戸川克隆町長は「施設を置くことで帰郷を諦める町民が増えるようなことはあってはならない」と指摘。その上で「町民の被ばく問題など、中間貯蔵施設の前に解決すべき多くの課題がある。国の都合で一方的にこういう話が進められていることに対しては理解できない部分もある」と疑問を投げ掛ける。
 中間貯蔵施設の設置がずれこめば、工程表全体の変更も迫られる。仮置き場の設置を検討している会津坂下町の竹内昰俊町長は「中間貯蔵施設の設置場所は慎重に選ぶべきだが、処分の筋道が決まらないと仮置きの期間が長くなる恐れがある。それだけは絶対に認められない」と強調する。

■担保

 中間貯蔵施設に搬入された汚染廃棄物は30年以内に県外で最終処分するとされたが、最終処分地をどのように決めるのかなど具体的な点には触れられていない。
 細野豪志環境相兼原発事故担当相は説明会の冒頭、「私は野田内閣で最年少の40歳。いつまで政治家をやるかまだ分からないが、少なくとも30年先をしっかり私が見届けないといけないと思っている」と述べた。しかし、この言葉をどう保証するのかは不明瞭だ。
 双葉地方電源地域政策協議会長を務める富岡町の遠藤勝也町長は「30年以内という数字は妥当だと思うが、確実に担保されるのか。中間貯蔵施設が最終処分場にならないよう監視しなくてはいけない」と政府の動向を注視する。南相馬市の桜井勝延市長は「30年を誰が保証してくれるのか分からない」と強い警戒感を示す。
 除染計画を策定したばかりの二本松市の三保恵一市長は「東電が原発の使用済み燃料を県外に搬出すると約束したが、果たしていないという実例もある」と指摘。「30年後にどこで最終処分するのか、国は早い段階できちんと示すべき」と求めた。

■疑問、怒り

 県民からは工程表の実現性に対する疑問や最終処分場建設の遅さに対する怒りの声が上がる。
 本宮市の主婦伊藤豊子さん(61)は「政治家がころころ変わる現在の状況で本当に中間貯蔵施設が3年後に完成するかどうかは怪しい」と疑問を呈す。
 南相馬市原町区の30代の主婦は「中間貯蔵施設を30年間、県内に設置するということは長期間立ち入ることのできない場所ができるということ。そんな猶予はない」と憤る。
 一方、福島市内で放射線量が比較的高い渡利地区に住む主婦(37)は「仮置き場に保管する3年間が長いかどうかの議論よりも、放射線量を下げるために場所を決めて一刻も早く除染を開始してほしい」と語気を強めた。

【背景】
 除染を始めるには除去した表土などの仮置き場が必要となるが、県内の多くの市町村は住民理解が得られないため選定作業が難航している。仮置き場が確保され、本格的な除染活動が始まったのは29日現在、福島市大波地区と伊達市霊山町下小国地区の2カ所にとどまっている。中間貯蔵施設や最終処分場に対する国の方針が明確になっていないことも除染や仮置き場の設置を進める上での障害になっている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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