東日本大震災アーカイブ

今を生きる 浪江の味囲み 絆強める

古里を思い、芋煮会を開いた浪江町の住民ら

■二本松に避難24世帯40人 サケ、焼きそばに笑顔
 二本松市安達ケ原にある浪江町の仮設住宅で30日、帰れない古里を思い、住民同士の絆を強める芋煮会が開かれた。警戒区域にある浪江町の泉田川にはちょうど、サケが遡上(そじょう)しているころ。故郷を忘れないよう、鍋にはサケの切り身を入れた。
 24世帯の約40人が暮らす。町民同士のつながりを求めて県外の避難先から仮設に移った人や、津波で家を失った人もいる。規模が小さく、自治会の発足が9月22日と遅かったこともあって、十分な支援物資が届かず、慰問などもほとんどないという。
 「小さな仮設住宅でも、みんなでまとまっていこう」。自治会長の鎌田優さん(64)、班長の奥村二良さん(61)と小林重夫さん(70)らが、住民の心を一つにしようと企画したのが、今回の芋煮会だった。二本松市大平住民センターの大内初弥さん(58)ら地元の関係者も駆け付けた。
 大きな鍋で野菜が煮える。浪江の秋の味覚だったサケの切り身もたっぷり入った。女性たちはまぜご飯でおにぎりを作り、鉄板の上では太麺の「なみえ焼そば」が香ばしい匂いを漂わせる。鎌田さんが一時帰宅で持ち帰ったカラオケセットが用意され、代わる代わるマイクを握った。
 鎌田さんは「きょうの芋煮会を、みんなで助け合って生きる第一歩にしたい」と語る。大鍋を囲んで、久しぶりに笑顔が戻った住民たち。一つの家族のように肩を寄せ合い、古里に帰る日を待っている。

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