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今を生きる 前を向く この店で

真剣なまなざしで仕込みに臨む松崎さん

■日本料理「和伊んや」松崎達哉さん
 富岡町で日本料理店「和伊(わい)んや」を開いていた松崎達哉さん(40)は27日、避難先の郡山市で郡山安積店を開店する。一時は県外に避難したが、県内で店を再開したいと、郡山市に戻り、再出発を決めた。富岡町民との再会や新たなお客との出会いを心待ちにしながら仕込みに精を出している。

■きょう郡山に分店 富岡への思い、腕に込め
 富岡町の店は今月22日に10周年を迎えるはずだった。しかし、原発事故で事態は一変し、避難生活を余儀なくされた。「富岡の店をすぐに再開できるように」と、必要最小限の食器だけを持ち出した。町民が避難した川内村に食材を持ち込み、炊き出しを振る舞ったこともある。
 一時、神戸市に避難した。だが、あえて職に就かず、県内に分店を開いて富岡に帰る日を待とうと思った。5月中旬に郡山市の借り上げ住宅に移るとすぐに、開店の準備を始めた。店舗探しや従業員の確保などに追われた。一番苦労したのは仕入れだ。「豊富な海の幸に恵まれた富岡のありがたみをあらためて思い知った」
 富岡では地元の漁師から直接買い付けたり、なじみの魚屋を通して仕入れたりして素材にこだわった。今は市内の市場に足しげく通い、自分で納得いく食材を用意している。来店してくれる町民に「お帰りなさい」の気持ちを込め、メニューは本店と同じにした。
 うれしい出来事もあった。8月に次男を授かった。どんなにつらくても必ず日は昇るという意味を込めて「朝日」と命名した。家族にも励まされながら「富岡の人だけでなく、食べた人みんなが前向きに頑張ろうと思えるような料理を提供したい」と誓っている。
 和伊んや郡山安積店は郡山市安積三丁目157。電話は024(973)7234。

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