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今を生きる 元気になる絵描き続ける 自宅失い喪失感...「使命」と奮起

震災後初の個展を開いている峰丘さん

■いわきの画家・峰丘さん 震災後初の個展
 「みんなが元気になるような絵をたくさん描く。それが自分の使命だ」。いわき市を代表する画家で、東日本大震災で自宅を失った峰丘さん(63)の震災後初の個展が26日、平字堂根町のギャラリー界隈で始まった。
 峰さんは春陽会の会員で、イタリアの古典技法「テンペラ画」と油彩を融合した独自の絵画を創作している。メキシコに留学した経験から、赤などの原色を大胆に使った強い色調が特色。画面に太陽をイメージした純金をあしらう「黄金背景」が持ち味で、圧倒的なエネルギーを放つ作風で知られる。
 3月11日は平6間門の自宅で強い揺れに襲われた。瓦が落下し屋根が損壊した。
 自分で屋根に応急処置を施し、5日間ほど須賀川市に避難した。いわき市に戻ったが自宅には住めず、好間町のアトリエで生活を始めた。心労がたたったのか、体温が上がらなくなり、点滴を打った。体重は6キロ減った。
 創作する意欲を失いかけたとき、知人から絵の制作依頼が舞い込んだ。「津波で家が流され、パワーをもらっていたあなたの絵も失った。もう1度描いてほしい」。うれしかった。自分の存在価値を再認識できた。
 個展には約30点の新作を出展した。夜の海を背景にした「海よ」など、被災者の鎮魂を胸に描いた作品が並ぶ。震災前は「男は泣くもんじゃない」が口癖だったが、テレビで被災のニュースを見るたびに涙が出るようになった。途方もない悲しみを作品に凝縮した。
 一方で、メキシコで見たサボテンをモチーフにした明るい色彩の作品も発表した。水も肥料も与えられないのに、荒涼とした大地で育つサボテンの生命力に再生への願いを託した。
 絵筆を持ちながら生き方を考えた。「人間は地球の間借り人であり、決して大家ではない。地球は生きており、自然現象は人間の力でねじ伏せられるものではない。もっと謙虚に生きなければ」
 個展は12月6日まで。水曜日は定休。

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