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【攻防 電力マネー1】全廃炉で財政危機 自治体、収入源探る

原発廃炉の財政的な影響が示された県幹部による会議。大幅な減収が見込まれ、危機感が募る=11月22日、県庁

 「大変な額だ。県や市町村の財政は大丈夫なのか」。配られた内部資料を前に県幹部は危機感を抱いた。11月22日、県の三役と部長らによる会議。原発の廃炉に向けた課題の洗い出しがテーマの1つだった。
 資料には、発電所の立地に伴い、1年間に県や市町村にもたらされる収入合計額、百数十億円の数字が記されていた。国からの交付金や、東京電力が県に納める核燃料税...。公共施設の整備や、企業立地の補助金などに充てる元手だ。
 金額には水力や火力の発電所分も含まれる。だが、原発が全て廃炉にされた場合、かなりの額が減る可能性を示していた。代わりの収入がなければ、県や市町村の予算に穴があく。
 「見通しがはっきりしない収入をどう捉え、予算をつくるのか」。年明けに本格化する県の平成24年度当初予算案づくりを前に、県財政課長井出孝利(51)は頭を悩ませる。

■当然の結論
 交付金は長年にわたり「電源三法交付金」と呼ばれてきた。使用する目的や事業によって、さまざまな種類に分かれている。
 その1つ、電力移出県等交付金は、県内にある発電所での発電量などを基に金額を計算する。最近は本県に年間60億円前後が入っている。原発関係に限れば、23年度の交付限度額は県分が約29億円、市町村分が約10億円に上る。
 「それは当然だ」。12月上旬、知事佐藤雄平(64)は国への交付金申請見送り案の説明を聞き、即座に決断した。14日の県議会本会議で、県は24年度以降、県分の原発関係の交付金を申請しない方針を明らかにした。
 22年度に約46億円あった核燃料税の収入も見込めない。原子炉に入れる段階で核燃料の価格と重さに課税する仕組みであり、廃炉となれば燃料を入れる作業そのものが存在しないためだ。
 同じ原発立地県の福井県は、価格の他に原子炉の出力に応じて課税する方式を追加した。しかし、本県は原子炉自体の廃炉を求める。福井県と全く同じ制度の導入は困難とみられている。

■一部は継続
 ただ、原発関係の収入の全てが、すぐに途絶えるわけではない。
 電力移出県等交付金の市町村分や、浜通りを中心とした各家庭などに配られる交付金、市町村の判断に委ねられる一部の交付金などは続けられる見込みだ。
 さらには発電所の土地・建物・設備に関わる固定資産税、東電が県に納める法人事業税は、廃炉に伴う金額の減少があっても、県や立地地域の重要な収入であることに変わりはない。
 「廃炉を前提にしながら、原発関係の収入を当てにしていいのか」。県幹部の1人は、そんな疑問に対して、どう答えるのかを思案している。
 その一方で、原発に代わる大きな収入源が見つからない現実も横たわる。双葉地方の町村会、町村議会議長会は新たな財源を求める要望を始めた。
   ◇    ◇
 県や市町村は発電所の立地によって、地域の発展や豊かな暮らしを目指した。大きな恩恵の1つが国からの交付金や電力会社からの税金だった。県、市町村、電力会社、国が繰り広げてきた「電力マネー」の攻防を追う。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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