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今を生きる 畜産農家の絆に感謝 北海道から牧草支援続々

北海道の畜産農家から送られた牧草ロールに感謝する遠藤さん

■二本松の遠藤さん 廃業の危機乗り越え
 約500キロ離れた北の国から届けられた牧草ロールに、二本松市田沢の畜産業遠藤恵子さん(56)は胸を熱くした。「これでまた牛たちを飢えさせず、乳を搾ってやれる」
 東京電力福島第一原発事故の放射性物質による影響が、農業に与えた最初の被害は原乳だった。3月下旬から約1カ月半続いた出荷停止の間、多くの酪農家が苦悩した。40年近く乳牛を飼い、和牛繁殖も手掛ける遠藤さんは「汚染された牧草は乳牛に厳禁。昨年の牧草で間に合ううちはいいが、収穫できない秋以降はどうすればいいのか」と廃業も考えたという。
 同じ田沢地区の畜産農家から朗報が入ったのは11月。北海道今金町で畜産業を営む幅口志保さんが牧草ロールの支援を申し出た。幅口さんと仲間の協力で第1陣として28個のロールが届いた。輸送費は北海道の酪農学園大の被災地支援ネットワークを通じた募金で賄われた。遠藤さんら田沢、新殿両地区の農家5戸で分け合った。
 第2陣の支援も12月に連絡があった。今度は輸送費の捻出に幅口さんが全国の知人や友人に呼び掛け、浄財を集めたという。19日朝、大型トラックから25個の牧草ロールが降ろされた。さらに酪農学園大の呼び掛けもあり、北海道各地から牧草支援の申し出が相次いでいる。
 「感謝してもし切れない」と遠藤さん。幅口さんをはじめ全国の畜産農家らとの絆を強く感じている。「私たちも繁殖用は少ない餌を融通し合って、しのいでいる。これからも助け合いながら、飼育を諦めないことが善意に報いることと思っています」と、北の空へ向かい頭を下げた。

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