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【製材くず1カ月で4000トン】置き場限界 焦る業者 「仕事続かない」 処分法、経費...先見えず

新たに造った樹皮置き場と千葉さん

 県内の製材所で製材時にくずとして出る樹皮の処分が滞り、各業者の仮置き場での保管が限界に近づいている。堆肥や、バイオマス発電の燃料としての需要が、放射性物質の付着でほぼ断たれているためだ。復興復旧関連の製材需要の伸びで廃棄物の樹皮はたまる一方で、業者は「一刻も早く処分方法を決めてもらわないと、事業が継続できない」と焦る。原木を出荷する林業への影響も懸念されている。

■高さ4メートルの山
 「行政の対応を待っていてはいつになるか分からない。いずれ置き場がなくなる」。南相馬市原町区の千葉製材所経営者の千葉喜之助さん(65)は樹皮の山を見上げながら憤る。
 当初あった約1000平方メートルの樹皮置き場が満杯になり、新たに約5000平方メートルの置き場を造った。高さ約4メートルの樹皮の山は1000トンを超えた。
 樹皮は堆肥の原料などとして出荷していたが、1キロ当たり1000~3000ベクレル程度あるため処分できず、たまり続けている。
 同社は南相馬市、飯舘村から原木を切り出していたが、東京電力福島第一原発事故で事業の一時休止とその後の伐採中止を余儀なくされた。現在は宮城県丸森町、新地町、福島市飯野町などから仕入れているが、売り上げは前年の2割に落ち込んだ。
 苦境を打開し、30人の従業員の生活を守るため、樹皮を除染して堆肥や燃料用に出荷することを検討している。
 県内のある製材業者。1カ月で約600トンの樹皮が出る。バイオマス発電の燃料と堆肥として県内の業者などに引き取ってもらっていたが放射性物質の付着を理由に断られた。10月には約3000トンまでたまったため、自治体に焼却を依頼するなどして総量を減らしているという。
 担当者は「今後、樹皮の再利用は諦めるしかない。減らすだけで精いっぱい」と頭を抱えている。

■行き場なし
 樹皮の処理先を確保しようと、県木材協同組合連合会と県森林組合連合会は10月、東京電力に対し、同社の石炭火力発電所で混焼材として使用することなどを要請した。
 混焼材としての使用のほか、焼却灰の保管、東京電力の責任で樹皮を保管するよう求めた。しかし、東電は「廃棄物の保管場所の提供・処分場の確保については同様の申し出を多数受けており、個別に応えることは極めて困難」などとして拒否した。
 その後も、決定的な打開策は見つかっていない。現在の状況が続けば、各製材所の保管容量はあと1~2カ月で限界になるという。関係者は「このままなら各製材業者は仕事をストップするしかなくなる。原木の出荷もできなくなり、県内の林業・製材業は立ち行かなくなる」としている。

■見えない出口
 稲わらの放射性セシウム汚染の問題を受け、政府は今年度の樹皮などの処理対策として予備費から約2億円を県の基金に繰り入れた。県は12月定例県議会に提出した一般会計補正予算案に業者が樹皮を仮置きする土地の借り上げ代や運搬費、管理費などに当てる林産業廃棄物処理対策費の約1億2000万円を盛り込んだ。しかし、いつ業者の手に行き渡るか分からない。
 県林業振興課はバイオマス発電用の燃料とする焼却施設が焼却灰の処理先がないなどとして受け入れを拒否している現状を懸念する。担当者は「焼却灰の受け入れ先が見つからない限り、根本的な問題解決にはならない」と問題の深刻さを語った。

■賠償請求の動き
 県木材協同組合連合会に加盟する製材業者約200社のうち、現在のところ損害を受けたとして約40~50社が東京電力に対し、今月中にも損害賠償を請求する意向を固めている。
 樹皮の処理が滞ったことにより保管するために必要になった土地代や管理費用などの経費がかさんでいるためだ。同連合会は独自の損害賠償請求の様式を作成し、加盟業者を支援しているが、どこまで賠償が認められるかは不透明だ。

■取引に変動なし
 一方、県木材協同組合連合会は、これまでのところ、県産のスギやヒノキなどの原木、製材の取引価格に大きな変動は出ていないとしている。
 連合会の宗形芳明専務理事は「家屋の新築・リフォームなど復興復旧関連の需要があり物そのものは震災・原発事故前と変わらず動いている。木材の品質には問題はないと考えている」とする。連合会ではより安全安心を高めるため、県と連携し県内各地で製材の放射能検査を進めているが、風評被害には一層の警戒を強めている。

【背景】
 県内の製材工場の製材工程で発生する樹皮はバイオマス燃料、畜舎に敷き詰める資材、堆肥の原材料などに活用されている。国が定めた1キロ当たりの暫定基準値は畜舎に敷き詰める敷料と堆肥が400ベクレル。バイオマス発電で発生する焼却灰の埋め立て可能な基準値は8000ベクレルとなっている。樹皮自体の暫定基準値はなく、農林水産省は基準値を設ける予定はないとしている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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