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今を生きる 「忘れない」思い地図に 津波前の古里再現

手作りの地図で津波が集落を襲った状況を話す松坂さん

■小高・村上の松坂さん手作り
 東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた南相馬市小高区にある村上地区に住んでいた会社員松坂義秀さん(58)は、津波で流されてしまった自宅をはじめ、震災前の村上地区の地図を作った。「風化させたくないんだ」。そんな思いで懐かしいマチを手作りで再現した。
 地図は縦横ともに90センチのベニヤ板に、色つきのビニールテープで住宅や農地、道路、海などを表現。建物などには世帯主の名前が記されている。
 松坂さんは村上地区の自宅で被災した。津波が来ると知り、丘の上にあった貴布根神社の境内に母親の孝さん(79)と避難した直後、津波は集落をのみ込んでいった。松坂さんたちは残った陸地で孤立した。一晩過ごして自衛隊のヘリコプターに救出されたが、東京電力福島第一原発事故が発生した。福島、会津若松、喜多方など各市で避難生活を送った後、4月中旬に南相馬市原町区の借り上げ住宅に入った。
 「時間がたつにつれて、古里のことを忘れてしまうかもしれない」と思った松坂さんは6月、地図を作り始めた。震災前の地区の様子が分かる住宅地図や記憶を頼りに、ベニヤ板の上に丁寧にさまざまな色のビニールテープを重ねていった。
 70世帯あった村上地区では62人が津波の犠牲になった。松坂さんは「自分が村上に住んでいたことを確かめているのかもしれない」と地図上の自宅に手を重ねた。

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