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【攻防 電力マネー9】 税率大幅引き上げへ 東電との対立激しく

県の地方税制等検討会。核燃料税率の大幅引き上げなどを協議した=平成14年

 「核燃料税の税率を7%から10%に上げたい」。平成13年1月、県税務課の担当者が県上層部に報告した。1年10カ月後に予定された核燃料税の更新に向け、税率引き上げが大きな焦点となっていた。同じ原発立地県の福井県が7%から10%に上げる動きを見せ、本県も事務レベルで同じ上げ幅を想定した。
 「10%では足りない。もっと上げられないか」。県上層部は再検討を求めた。税務課は「事務的には大幅な引き上げは難しい」との意見を上げた。だが、上層部は大幅引き上げを譲らなかった。
 13、14の両年度に税務課長を務めた太田久雄(61)=日赤県支部事務局長、国見町=は「安定した税収で県の政策を実現し、同時に県民の安全や安心を守るため、大幅引き上げが欠かせないという思いが込められていた」と県上層部の意図を説明する。

■先細りの懸念
 創設から十数年が過ぎた核燃料税は、税収に先細りの懸念が出始めていた。
 最盛期の3期(昭和62~平成4年)は約281億円だったが、続く4期(4~9年)には約195億円に減った。5期(9~14年)はさらに下がる可能性が出ていた。
 税額計算の基礎となるウラン燃料の価格が下がり、さらに技術改良によって核燃料の使用可能期間が延び、新たに原子炉に入れる核燃料が減っていた。県税務課の見積もりでは、税率を7%から10%に上げても、税収はピーク時に及ばないとみられた。
 一方で、茨城県東海村で起きたJCO臨界事故などを受け、本県の新たな原子力防災体制づくりなどに資金が必要だった。
 「核燃料税の税収を最盛期の水準以上にすること」。県上層部から税務課に厳命が下った。
 地方分権一括法が12年4月に施行され、県や市町村が独自の税金を課す権利が強められた。同じ頃、東京都が導入した「銀行税」も話題を集めた。追い風に恵まれながらも、前例のない引き上げ幅のハードルは高かった。

■宣戦布告
 当時、青森県が県内の再処理施設で受け入れた使用済み核燃料などの重量に課税していた。本県の税務課は「重量に課税すれば、燃料の価格の移り変わりに左右されず、安定的な税収になる」とにらんだ。
 14年1月、税務課職員が総務省を訪ね、重量課税を検討していることを報告した。同省の担当者は先行した福井県並みの増税を念頭に答えた。「重量とはうまいことを考えましたね。10%の範囲内なら問題ありません」
 しかし、県が考えていたのは国の想定をはるかに超える税率だった。3カ月後の4月、県は県地方税制等検討会で価格、重量の2種類の課税で実質的な税率を16.5%とする考えを公表した。税率を知った総務省の担当者は「震えてしまいますね」と驚いた。
 福井県をしのぐ大幅な税率引き上げは、納税者である東京電力をはじめとする電力業界、経済界などを敵に回すことを意味した。核燃料税をめぐって激しい攻防が始まった。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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