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【攻防 電力マネー11】地元配分に募る不満 県とせめぎ合い続く

核燃料税の地元配分増を県に要望する双葉地方の町村長ら=平成10年

 「原発の補助金をもう少し回してくれないか」。昭和62年、市町村行政の担当窓口を務めていた県幹部は、東京電力福島第二原発が立地する富岡町の町長、関本英勇から相談を持ち掛けられた。
 県は東電から入る核燃料税の一部を、双葉郡を含む周辺10市町村や、双葉地方広域市町村圏組合に補助金(後に交付金)や低利貸し付けをする基金に充てていた。関本をはじめ各首長は地元配分の増額を求めていた。
 当初の第1期分(52~57年)の割合は税収の13.8%で、配分先は市町村圏組合に限られていた。第2期(57~62年)から個別の市町村にも直接、補助金を出すようにした。だが、地元への「分け前」は、第1期をわずかに上回る14%と定められた。61年度は税収約56億円のうち、地元への補助金は約6億円にすぎなかった。
 県幹部は上層部に掛け合い、第3期に入った63年度から段階的に地元配分の割合を上げることを決めた。平成4年度には28.58%にまで高まった。大幅に改善されたが、地元にとって決して満足できる割合ではなかった。

■要望繰り返す
 地元配分の増額は、双葉地方の町村長が県に出す要望書に必ず盛り込まれた。希望する割合は、税収のほぼ半分に当たる40~50%が多かった。
 国が認めた電源三法交付金の使い道は、公共施設などの「箱もの」が主体だった。他の事業に充てられない上、建てた施設の維持費がかさむ。核燃料税による補助金は国の交付金に比べて使い道の範囲は広かった。
 「原発があって初めて成り立つ税であり、せめて半分ぐらいは地元に還元してもいいのではないか」。原発立地町の関係者に共通した思いだった。
 さらに、県が税収を浜通り以外の事業に投じているとして、地元には「原発周辺地域に十分に使ってこなかった」との不満もくすぶる。
 県は20年度、配分割合を30%に引き上げた。県市町村財政課長五十嵐俊夫(51)は「市町村の枠を超えた広域的な対応が県には求められる。これがぎりぎりのラインだ」と県の立場を説明する。

■渋滞
 双葉地方町村会が事務所を置いた富岡町は原発事故で警戒区域に指定された。事故から約2カ月後、町村会は福島市内に事務所を移した。県庁から歩いて、わずか1分の場所だ。「核燃料税を使って優先して道路を整備していれば...」。事務局長松本広行(56)は避難する住民が集中した道路の渋滞を思い起こす。
 事故直後、双葉地方と中通りを結ぶ114号国道や288号国道、県道は車列が延々と続いた。狭い道幅や急カーブが渋滞に拍車を掛けた。町村会や多くの民間団体は、原発事故などに備え、道路の改良や高規格道路の整備を国や県に繰り返し求めてきた。国や県は道幅の拡張やバイパス・トンネル建設に努めた。核燃料税の一部も使われたが、住民にとってはまだまだ不十分だった。
 長期化する避難生活、除染、道路や上下水道の復旧...。山積する課題の解決を保証するためにも、県や地元は電源三法交付金、核燃料税などに代わる財源を探す。「電力マネー」をめぐる攻防は新たな局面を迎える。(文中敬称略)
 =第3部「攻防 電力マネー」は終わります=

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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