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神楽舞 いつか古里で 仲間思い伝統継承 喜多方「文化の光フェス」出演

古里の仲間を代表しステージに立った岩佐さん(後列右から2人目)らメンバー

■相馬の御手神楽台敬神団 岩佐武弘さん(58)
 「やり切った」。喜多方市で22日に開かれた「ふくしま文化の光フェスティバル」に出演した相馬市の相馬宇多郷の神楽「御手(おて)神楽台敬神団」。会長の岩佐武弘さん(58)は胸をなで下ろした。ふいに、ステージに立てない古里の仲間の顔が浮かんだ。
 相馬宇多郷の神楽は旧相馬藩領の時代から伝わる伝統芸能。平成4年には県重要無形民俗文化財に指定された。毎年6月と9月には市内の大雷神社で例大祭が開かれ、約5団体が神楽舞を奉納している。
 東日本大震災による津波が神楽の歴史に影を落とした。相馬市神楽保存会に所属する19団体のうち5団体が楽器、衣装、そして魂でもある獅子頭を失った。「御手神楽台敬神団」は被害を免れたが、毎年顔を合わせる人が悲しんでいると思うと切なかった。例大祭は中止となった。
 ある日、相馬市生涯学習課からフェスティバル出演団体に推薦された。大雷神社のお膝元で、最初に神楽舞を奉納する岩佐さんたちに白羽の矢が立った。「自分たちでいいのか」。最初は戸惑った。だが、仲間の思いを背負って舞台に上がることが、伝統を守ることにつながると出演を決めた。
 月1回、34歳から最年長の岩佐さんまで異職種の会員が時間を合わせて集合し、より良い舞を見せようと練習に励んできた。
 出演構成は笛3人、太鼓1人、獅子舞5人。本番では「鈴舞」「乱舞」「口上」「かしら」の4演目を10分間、精いっぱい演じ切った。獅子頭に頭をかまれると無病息災がかなうという言い伝えも紹介し、観客席を走り回った。「いつかまた、古里のみんなで集まって神楽舞を演じたい」と岩佐さんは話す。伝統の灯を消さずに継承していこうと情熱を燃やしている。

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