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今を生きる 入居まだ10戸―郡山市日和田の仮設 寂しさ埋める場所に

談話室の鍵を開ける小林さん

■双葉の小林テイさん 真心で談話室管理
 「いつ、誰が来ても大丈夫なように」。郡山市日和田町にある双葉町の仮設住宅で暮らす小林テイさん(72)は、敷地内の談話室の鍵を開けるのが日課だ。計122戸の9割以上は、未入居のまま。連なる住宅の前は足跡もない、真っさらな雪に覆われている。誰も来ない日もあるが「いつか寂しさを埋める場になるはずだから」と信じている。
    ◇◇◇◇
 古里が恋しくなり、昨年9月に避難していた東京都から移り住んだ。一緒に避難した娘夫婦、孫とも離れ、1人暮らしになった。「せめて地元と同じ、のどかな場所がいい」と、周辺が田畑に囲まれた高倉仮設住宅を選んだ。入居したのは第1号だった。現在はテイさんを含め10世帯が暮らしている。町からの支援物資が談話室に届くと、小林さんを中心に連絡を取り、みんなで配る。協力して生活を送っている。
 24日、談話室で久しぶりに開かれた健康教室には小林さんを含め5人が参加した。こぢんまりとした雰囲気の中、体格指数(BMI)や体重などを測る5人の表情に笑顔が広がっていた。「またあのころに戻れたらなあ」。笑い合って少しだけ、古里での暮らしを思い出せた気がした。
 午前7時、古里への帰還の扉を開ける願いを込めて、今日も談話室のドアを開ける。

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