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【振興への駆け引き5】課税免除 原発は例外 復興に欠かせぬ財源

東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉に搬入される炉心隔壁(シュラウド)。設備が増える分、町に入る固定資産税が増えた=平成10年2月

 昨年開かれた大熊町の9月定例議会で、1つの条例案が可決された。町内の企業の設備などで一定の要件を満たした「償却資産」について、固定資産税を徴収しないことを盛り込んだ。
 東京電力福島第一原発事故で町内全域が警戒区域に指定され、避難した住民や企業は震災前と同じような税金を支払う状況にはないためだ。
 だが、例外があった。福島第一原発の施設・設備だ。町税務課長の島和広(52)は強調する。「原発事故は人災だ。東電に責任がある以上、課税は避けられない。そうしなければ住民感情としても理解されない」


■放置に当たらず

 大熊町の条例は、固定資産税の減免対象を「東日本大震災が起きて以降に放置され、使用不能の状況にある償却資産」とした。町内全域が警戒区域であり、ほとんどの設備が該当する。しかし、原発は復旧作業が進められている。町は条例にある「放置」に当たらないと判断した。
 また、地方税法の適用範囲となる土地・建物の固定資産についても、昨年8月の法改正で大熊町などの原発周辺の市町村で課税を免除できるようになっている。町は償却資産と同じく、住民や一般企業には免除するが、福島第一原発については課税を続けることを決めた。
 町は昨年11月、23年度分の固定資産税の納付書を東電に送付した。4回に分けて納付されるうち、年末までにすでに2回分の納付が済んでいる。


■自由な金

 大熊町だけの「単独行動」ではなかった。昨年8月中旬、郡山市の県農業総合センターに双葉地方8町村などの税務課長が集まった。大熊町と同様に原発が立地している双葉、富岡、楢葉の各町の課長も出席する中、島は東電だけは課税を免除しない大熊町の考えを表明した。
 立地町の中には「東電にだけ課税を続けるのは、税の公平性に欠けるのではないか」との慎重意見もあった。だが、翌月に再び集まった会議で、立地4町で足並みをそろえることを申し合わせた。
 「町の復興に向け、今は一円でも、10円でも多くの収入が欲しい」。各町の財政担当者の共通した思いだ。原発の固定資産税を徴収し続ける背景には、自主財源を守りたいという思いが強い。
 大熊町が平成23年度、福島第一原発に課した固定資産税は約20億円で、一般会計当初予算総額約77億8000万円の4分の1に当たる。すべての税収34億5000万円の6割近くを占める。
 固定資産税は原発施設の減価償却によって目減りする部分がある。その一方で、核燃料共用プール建設や、炉心隔壁(シュラウド)交換などで新たな設備が増えるたびに、その分の税収が増えた。全体としては税収が大きく減ることはなく、原発立地以来、町の歳入の大部分を賄い続けてきた。しかも、電源三法交付金のような使い道の制限はなく、町の判断で自由に使えた。
 今のところ、原発関連の資産に課税を続ける町の対応に対し、東電から反論は寄せられていない。原発に依存した町財政の姿が浮き彫りになっている。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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