東日本大震災

「連載・今を生きる」アーカイブ

  • Check

今を生きる 「絆サロン」開設 喜多方 相双の避難者に安らぎの場

避難者が安らげる場所になることを願う遠藤さん

■富岡の遠藤祝穂さん
 「寒いからこたつも必要かな」。喜多方市字西四ツ谷に開設した「そうそう絆サロン」で、富岡町の遠藤祝穂さん(67)が笑みを浮かべた。約50平方メートルの敷地に並ぶ手作りの畳座敷やテーブル。相双地区からの避難者が安らげる場所をつくりたかった。

 富岡町職員を退職後、農家の仲間と耕作放棄地を活用した飼料米の産地づくりを進めていた。だが、東日本大震災で努力は水の泡になった。原子力防災に携わっていたため、余計にむなしさが残った。
 田村、福島両市などを経て6月上旬、息子夫婦らが先に避難していた喜多方市のアパートに、妻悦子さん(64)と一緒に移った。間もなくしてアパートを経営する「大善」社長の矢部善兵衛さんから自宅の庭の手入れを頼まれた。市内でも有数の名家でマツの剪定(せんてい)や雪囲い、草刈りなどに励んだ。●を伝う汗が心地よかった。
 冬が近づくにつれ、作業量は減った。部屋にいると無性に体を動かしたくなった。11月下旬、矢部さんの妻で同社専務のかほるさんから「アパート1階の空きテナントを自由に使ってください」と言われた。アパートには十数世帯の避難者が暮らしていた。憩いの場が必要だと感じた。
 持ち前の器用さを生かし、部屋のリフォームで不要になった畳を使った座敷や机、椅子を手掛けた。作業スペースを仕切るベニヤ板が物寂しいと見るや、夜の森公園に代表される富岡町の桜などを描いた。花を飾り、神棚も設けた。全ては同郷人の笑顔のため。今月中旬、"移動式の古里"が完成した。
 今はサロン内で交流イベントを開くことが目標。「節分の豆まきは楽しんでもらえるだろうか」とトレードマークの帽子に鉢巻き姿で懸命に考える。人のために働くことが、何よりの活力になっている。
 「そうそう絆サロン」についての問い合わせは遠藤さん 電話090(2024)2991へ。

※●は順の川が峡の旧字体のツクリ

カテゴリー:連載・今を生きる

「連載・今を生きる」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧