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【24年産米作付け】除染間に合うか 検査体制構築も課題

県が行った農地反転耕のデモンストレーション=12月13日、桑折町

 JA福島中央会の平成24年産米作付け方針で、食品の新基準値100ベクレルを超える危険性が小さいと判断された場合、除染を条件に作付けが認められる。だが、春の作付け開始までに除染が間に合うのかは不透明だ。作付けの前提となる検査体制の構築も課題で、農家と行政、流通業者は不安を抱える。

■時間との戦い
 JA福島中央会の作付け方針(JA方針)では、放射性セシウムが1キロ当たり100ベクレル超の地域については徹底した除染を作付けの条件とした。「春までに時間がない。広大な農地をどうやってスムーズに除染すればよいだろう」。二本松市農政課の職員は農地分布図を手に頭を悩ませる。
 市は全水田約2700ヘクタールを3月末までに除染する計画だ。補正予算で約10億円を計上し、土の上下を入れ替える反転耕を施す。JAの組合員や土木業者に委託して実施する方針だが、「春までに機械や人員をどれだけ確保できるのか、現段階では見通しが立たない」と心配する。
 雪の影響もある。本宮市の農家は「今年は特に雪が多い。雪解けを待っていては、間に合わないのではないか」と気をもむ。
 県が除染方法として推奨する反転耕に疑問を抱く関係者も少なくない。JAみちのく安達の担当者は「良質な土は表土5~6センチ。深く掘るほど土がやせる。放射性セシウムは検出されなくても、良いコメが育たなくては意味がない」と指摘する。昨年12月に県が実施した反転耕の実演を見た桑折町の農家は「代々受け継いだ肥よくな大地が失われる」と表情を曇らせる。自治体の多くは、大型機械が入らない山あいの除染も課題に挙げる。

■全容は不確定
 24年産米の作付けを進める上で、県とJAは全袋検査を前提としている。JA福島中央会の幹部は「生産意欲の維持が大切。『入り口』の生産段階で一定の制限は必要だが、全袋検査による『出口』をしっかりすれば、汚染米の流通は防げる」と強調する。
 頼みの綱の検査機器は現在、大手メーカーが開発中だ。ベルトコンベヤー式の検査機で、1台数1000万円もする。県は、JAや流通業者が導入する際に全額補助する方針で、国の支援を基に約150台分を予算化する。
 ただ、現段階で全容が不確定な検査機器に頼ることに、不安を感じる関係者もいる。県内の卸売大手の担当者は「本当に機械が収穫時に間に合うのか分からない。そもそも、150台では到底、足りないのではないか」と疑問を投げ掛ける。会津地方の米穀店主も「小さな民間の集荷・出荷業者まで機械が回ってくるとは思えない。順番を待っていては出荷が遅くなる」と懸念する。
 農水省と県はいまだに全袋検査体制の具体案は示していない。実家が農家の福島市の主婦(63)は「できるだけコメを作りたい気持ちは理解できる。その代わり、国と県が全面的にバックアップして万全な検査体制を敷いてほしい」と訴える。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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