東日本大震災

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土湯復興に法の壁 再開発に「制限」 着工手続き煩雑 

震災と原発事故で大きな影響を受けた土湯温泉。町の活性策を探っている

 東日本大震災からの復興を目指す福島市の土湯温泉に法律の壁が立ちふさがっている。町を挙げて土湯温泉町復興再生協議会を設立し、廃業旅館の再開発や再生可能エネルギーを活用した事業を計画している。しかし、温泉街は「市街化調整区域」に指定されているなど、計画は思うように進まない。町の活性化のためには、新たな復興特区指定など早急な対策が求められている。
 「早く温泉街を再生させなければ悪いイメージが残ってしまう」。土湯温泉観光協会の池田和也事務局長(54)らは危機感を募らせる。
 昨年10月に自治振興協議会や観光協会が一体となって設立した「土湯温泉町復興再生協議会」は、廃業した旅館を活用するため避難者向けアパートへの用途変更などを考えた。
 しかし、温泉街は、昭和45年に都市計画法で開発を抑制する「市街化調整区域」に指定されていた。廃業した旅館は旅館としてしか再建できないなど、建物の用途変更や建設が厳しく制限されている。
 調整区域をある程度自由に開発できる「市街化区域」に見直すためには、県や国との協議が必要となり、早急な変更はほぼ不可能な状況だ。
 一方、「湯遊つちゆ温泉協同組合」を中心に、地上に噴出している温泉の蒸気や熱水で電気を作るバイナリー発電事業を計画した。環境省の「緊急検討委託業務」の認定を受け、さらに、荒川の水流を生かした小水力発電も案に加えた。
 ところが、発電所の設置予定地は開発が規制される国立公園法の第三種特別地域や、砂防法の砂防指定地などに指定されていることが分かった。着手までに煩雑な許可手続きが必要で大変な手間と時間がかかる。
 復興再生協議会は、当初、国の復興特区制度の活用を検討した。だが、復興特区は津波や地震で大きな被害があった地域が対象で、土湯温泉が認定されるかは不透明な面が多い。
 同協議会の加藤勝一会長(63)は「観光客が少ない現状では空き旅館を旅館として再生するのは難しい。規制を緩和して開発できる地域へ方向づけることが必要だ」と訴えている。

■市、特区認定求める

 福島市の瀬戸孝則市長は「温泉地の活性化は特区制度を活用して支援したい」と前向きな姿勢を示している。ただし、東日本大震災の被災地再建に向けて既に成立している復興特区法の内容では不十分だとする声は多い。
 このため市は政府が成立を目指す「福島復興再生特別措置法案」などで「特区の上の特区」の制度の認定を国に求めている。

■16軒中5軒廃業

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の風評被害などの影響で、土湯温泉の宿泊客は激減し、廃業する旅館も相次いでいる。
 平成22年は1年間で22万人の宿泊客でにぎわったが、震災と原発事故以後は客足が遠のき、昨年10月末までの宿泊客数は11万3千人と大きく落ち込んだ。
 旅館は16軒中、5軒が廃業した。一軒は長期休業に追い込まれた。収容人員数も2328人から1052人に縮小している。

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