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【避難区域見直し・総合支援策】市町村帰還に支障 防犯面で危機感

 東京電力福島第一原発事故後に「警戒」「計画的避難」両区域に指定された市町村は、避難区域の見直しに合わせて住民帰還のロードマップづくりを進めている。しかし、政府から総合支援策や区域再編についての情報がなく、作業に支障が出始めている。県警は区域見直し後の防犯対策を懸念する。

■帰りたいのに
 避難区域見直しで、避難指示解除準備、居住制限、帰還困難の3区域に分断される可能性のある富岡町は、6月の災害復興計画策定を目指している。
 帰還時期や除染の工程、社会資本の復旧、住宅建設計画を盛り込む考えだが、新たな区域の線引きが確定していないことから、帰還時期の設定を先送りした。町災害対策本部の担当者は「計画策定が遅れると帰還時期も遅れる可能性が出てくる」と表情を曇らせる。
 南相馬市は、小高区の住民帰還に向けた区役所、学校、上下水道の復旧計画を立てることができていない。同区は現在、警戒区域で、4月以降は避難指示解除準備区域などに指定される見通しだが、国から区域再編後の立ち入り基準が示されていないためだ。
 大熊町は、中間貯蔵施設の場所や帰還困難区域の政府の土地の買い上げ方針が不透明なため、住民にビジョンを示すことができないという。町幹部は「この状態では、町民の古里への気持ちが離れてしまう」といら立つ。
 13日に帰還方針を盛り込んだ「復興ビジョン」を策定した葛尾村。担当職員は、政府の総合支援策と整合性が取れない場合、ビジョンを修正せざるを得なくなると危惧する。

■自由に出入りか
 「警戒区域解除の動きが先行し、治安面を考慮した議論が取り残されている」。県警は再編後の犯罪抑止の在り方に危機感を抱く。
 現在は原子力災害対策特別措置法と災害対策基本法に基づき警戒区域を設定しており、立ち入りを強制的に制限できる。警戒区域が解除された場合、規制の法的根拠がなくなり、立ち入りを認めざるを得なくなるという。
 富岡町の滝沢一美総務課長は「区域見直しで自由に出入りできるようになったら、防犯上問題」と指摘。浪江町から福島市の仮設住宅に避難する50代の無職女性は「避難直後のように盗難被害が続発する恐れがある。避難者に限って出入りできるようにしてもらいたい」と注文した。
 県警災害警備本部副本部長の山田憲警備部長は、県警が治安面で積極的に市町村と話し合う姿勢を示し「提案や意見、要望を吸い上げたい。国の考えも踏まえ、新たな避難区域の線引きについても治安面から関与していく」としている。

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