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今を生きる エステ おしゃれ後押し 桑折の仮設住宅で奉仕 体と心癒やす

避難する人たちの体と心を癒す尾形さん

■保原 尾形貴子さん
 「凝っているところはありませんか」「夜は眠れていますか」
 アロマオイルの香りが立ち込める室内で尾形貴子さん(伊達市保原町)は、訪れた人の肩や足、顔などをもみほぐす。1月下旬から毎週1回、桑折町の桑折駅前仮設住宅でエステボランティアを続けている。
 震災前は仙台市でエステをしたり、専門学校でエステ講師をしたりしていた。昨年の3月11日は教え子を連れ、福島駅にいたところ、震災が発生。教え子らの身を守り、さまざまな手を尽くして、それぞれの家に送り届けた。深夜、何とか自分も帰宅したが、後から怖くて震えが止まらなかった。
 震災で仕事は休みとなった。何も手がつかなかった。テレビや新聞で被災地の厳しい状況の中で協力し合う人たち、特に中高生の姿を見て「何か自分もしなくては」と、すぐに各地で行われているボランティアに登録し、川俣町や伊達市、福島市などで物資の運搬や仕分け作業を手伝った。
 その後、仙台市の店は再開断念を余儀なくされた。自分ができることで何か手伝えないかと、エステボランティアをする場所を探した。桑折町ボランティアセンターに連絡すると、町内の仮設住宅を紹介された。道具も自費でそろえ、活動し始めた。
 「肌の潤いが戻ってきましたよ」「エステなんて初めて」。被災者の女性たちとの会話も自然と弾む。回を追うごとに希望者も増えていった。「皆さんからいろんな話を聞き、逆に元気をもらっている。これからもエステを通じて役に立つことができればうれしい」と話す。
 エステを受けた浪江町の女性は「着の身着のまま避難し、これまでおしゃれなど気にすることもできなかった。せっかくエステしてもらったんだから、あしたから少しはおしゃれしてみようかな」と笑顔を見せる。傍らに優しくほほ笑む尾形さんがいる。

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