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【福島第一原発ルポ】高線量が作業妨害 低濃度汚染水漏れ、2号機温度計故障 問題続出に焦り

水素爆発から間もなく1年が経過する原子炉建屋(右から)4号機、3号機、2号機、1号機。4号機では損傷した外壁が取り除かれ、がれきの撤去作業が進む。一方、3号機では高い線量が作業を阻む=20日午後、東京電力福島第一原発(代表撮影)

 20日に公開された東京電力福島第一原発。4号機で燃料プールから燃料を取り出すためのがれき撤去が進む一方、3号機では高い放射線量が作業の進行を妨げている。原発事故から間もなく1年が経過するが、汚染水の配管からの水漏れ、2号機の温度計故障など新たな問題も浮上している。「次々とトラブルが生じ、対応が追い付かない」。関係者の表情には焦りがにじんでいた。(本社報道部・鈴木仁)

■いら立ち
 記者団を乗せたバスが1号機北側の高台に向かうと、トラックの荷台に備えられた原子炉への冷却水注水用ポンプ3台が稼働していた。ポンプにつながる配管には凍結防止の断熱材が巻かれ、隣には非常用のポンプも備わる。東電職員は「安定した注水が可能」と自信を見せた。
 その後、バスは1号機から4号機方面に南下。破損が激しい3号機付近で、同乗した東電職員が計測している放射線量は毎時1500マイクロシーベルトに急上昇した。3号機は放射線量が高い地点が多く、人的な作業は困難な状況が続く。無線による機械操作でがれきを撤去しているが、関係者には「効率が上がらない」といら立ちも出ている。
 一方、4号機の原子炉建屋では、昨年11月の公開時と比べ作業が進んでいた。西側と南側の外壁が取り払われ、緑色の燃料交換機や作業員が動き回る姿が見えた。奥には黄色の原子炉格納容器のふたがあった。

■林立
 4号機の南西方面には処理済みの汚染水などをためるタンクが立ち並ぶ。事故前は山林だった場所で、社員の1人は「今やタンクの森」と苦い表情を浮かべた。
 現在の貯蔵容量は16万トン。東電は4月上旬までに、新たに4万トン分のタンクを増設する方針だ。しかし、汚染水の効率的な処理方法は確立されていない。

■奮起
 福島第一原発で作業に当たる人員は1日当たり3000人程度に上る。「司令塔」の機能を担う免震重要棟内の廊下は、制服や防護服を身に着けた東電、協力企業の職員らが足早に往来していた。多忙と緊張を強いられ、表情には疲労もにじむ。廊下の一角には全国からの千羽鶴、励ましのメッセージが添えられた色紙が並び、最前線で作業に当たる関係者を奮い立たせる。
 棟内では経済産業省原子力安全・保安院による保安検査が続いていた。

■追い付かず
 福島第一原発では今年に入り、凍結による汚染水の配管の水漏れ、2号機の圧力容器底部に設置された温度計の故障など新たなトラブルが相次いだ。高橋毅所長は謝罪の言葉を述べ、設備の維持管理など対応に全力を挙げる考えを示した。
 ただ、東電内部からは「3号機では線量が高く作業が進まない。その上、新たな問題が生じている」との悲鳴も上がる。事故の「収束」に向けた道のりは依然、険しい。
 取材を終え、身に着けていた積算線量計を見ると「70マイクロシーベルト」を示していた。全面マスクを着用した時間は2時間程度。それでも、息苦しさを覚えた。作業の過酷さをあらためて感じた。

■企業の担当者、困難さ語る 「分刻み」「人材入れ替え」
 福島第一原発の公開に合わせ、原発事故の対応に当たる企業の担当者らが記者団の取材に応じ、高い放射線量の中での作業の困難さなどを語った。
 3号機のがれき撤去などを担当している鹿島建設東電福島土木工事事務所の日比康生所長は「作業員が被ばくしないため、綿密な計画を立てている」と語った。3号機は放射線量が高いため無線による機械の作業が多く、人的作業より効率が劣る点を課題に挙げた。
 人材や物資の調整に当たっている東電工業福島原子力事業所工事部第一原子炉グループの坂本和博副長は「事故直後は高線量の中、作業員が1~2分刻みで対応に努めた」と厳しい作業を振り返った。スクリーニングなどを担う東電環境エンジニアリング原子力事業部福島原子力総合事業所周辺環境部の志田弘幸第二グループ長は「被ばくを軽減するため一線で従事する人材の入れ替えなどの対応に努めている」とした。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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