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コメ作付け 安全対策前提 4月に森林除染の指針

 かの・みちひこ 昭和17年、山形市生まれ。学習院大卒。51年、衆院選に旧山形県1区から自民党公認で立候補し初当選。平成元年に農林水産相として初入閣。自民党副幹事長、総務庁長官などを歴任し、平成6年に自民党を離党。「新党みらい」代表、「国民の声」代表、民政党幹事長などを経て10年の民主党結党時に副代表に就く。22年9月から農水相を務める。当選11回。70歳。

■農林水産相 鹿野道彦氏

 鹿野道彦農林水産相は福島民報社のインタビューに答えた。一キロ当たり100ベクレル超500ベクレル以下の放射性物質が検出された地域で平成24年産米の作付けを進めるとする県の方針を重く受け止めるとした上で、県などが安全確保対策に万全を期せるかを踏まえ、国の方針を決めたいとの考えを示した。(聞き手・編集局長 佐藤光俊)

 -東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から約1年。本県の農林水産業者は津波や放射性物質の被害に加え、風評被害で大きな苦しみを受けた。

 「筆舌に尽くせない苦しみを受けた県民の皆さんには、政府の一員として心からおわびを申し上げたい。この1年間、農林水産行政を預かる者として、これまでの県民生活をできるだけ早く取り戻せるよう取り組んできた。これからも県民の苦しみを共有していく」

 -24年産米作付けの行方が焦点となっている。県は100ベクレル超500ベクレル以下の地域で作付けを進める考えを農水省に伝えた。どう受け止めているか。

 「これまで関係市町村、県と意見交換してきた。食品の放射性セシウムの新基準値(一キロ当たり100ベクレル超)が示されたが、ぜひ作りたいという農家は非常に多い。一方で、除染が優先という考え方もある。作付け方針を決める基本は、消費者のため24年産米の安全対策を万全にできるかということだ」

 -佐藤雄平知事は『市町村の意向を尊重してほしい』と要望したが。

 「知事は県民の代表であり、重いものと受け止めている。ただ、前提として全袋検査などの対策がしっかりと担保されることが大事。県が自主的に行うというのであれば、それが可能なのかどうか、検討を事務方に指示をしている。厚生労働省とも連携して対応したい」

 -仮に作付けが制限された場合、生産意欲の減退、耕作放棄地の拡大などを懸念する声が強い。東京大の専門家は水田の荒廃を防ぐため作付けすべきと提言している。

 「大変重要な指摘だ。仮に作付けを制限した場合、営農再開に向けた道筋を示すことが大切だ。(作付けを休む間の)営農意欲の維持、農地の保全に留意する必要がある。除染や水田の水張りなど、農地保全に対する支援策を国として提示しなければならない」

 -放射能汚染や風評被害で23年産米は大量の在庫が発生した。100ベクレル超のコメの民間法人による買い上げ(特別隔離対策)に早急に着手してほしい。

 「可能な限り早い時期に実施したい。コメの確実な隔離、生産者への出荷代金相当額の支払いの実務について県や市町村、生産者団体と調整を急いでいる。ただ、関係者の今の最大の関心は24年産米の作付け方針であり、その方針を決定した後に買い上げの具体的な内容を発表したい」

 -原発事故によりコメや肉牛、野菜、果実の風評被害が深刻で、県産ブランドは打撃を受けた。

 「原発事故後、本省は加工・流通業者、消費者に対して科学的、客観的な見地に基づいて判断してほしいとお願いしてきた。(従来の500ベクレルから100ベクレルに厳格化される)食品の新基準値は、厚労省と連携して国民に丁寧に説明し、理解してもらうための努力が必要だ」

 -本県沿岸部の水産業は壊滅的な被害を受けた。回復に向けた手だては。

 「1月19日にいわき市小名浜を訪れ、漁業者や水産加工者と意見を交わした。操業再開に向けて現実は厳しい。水産業者の生活支援施策を講じながら、復興のため魚や海のモニタリング調査をしっかり実施する」

 -森林の放射性物質汚染が深刻だ。山の汚染は田畑にも影響する。一刻も早い除染技術の確立が求められている。

 「これまでに、林縁から20メートルの生活圏の除染対策は示してきた。現在は森林全体の除染に向けて間伐の効果などを実証試験している。林野庁はこれらの森林除染の技術指針をまとめ、4月に環境省に提示する」

 -県内の農業関係者などは環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に反対している。政府と国民の相互理解が必要ではないか。

 「国論を二分すると言われるほど重要な問題。国民に情報を提示して議論してもらうことが大切だ。そうした中で政府として国益に沿って判断していく」

   ◇    ◇

 東日本大震災、東京電力福島第一原発事故から間もなく1年が経過する。コメの作付け問題をはじめ、避難区域の見直し、除染、風評被害など本県復興に向けた課題は山積している。関係閣僚らに考えを聞く。

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