東日本大震災アーカイブ

今を生きる 野菜作りで高齢者元気に 鹿島の仮設住宅 畑やハウス提供

ビニールハウスを提供した大留会長(最前列)と利用する仮設住宅避難者

■原町 原発事故から命と環境を守る会
 「仮設住宅の高齢者らが、暖かいビニールハウスで野菜を栽培して少しでも元気になってくれれば」。南相馬市原町区の原発事故から命と環境を守る会(大留隆雄会長)は28日、同市鹿島区小池字小草に仮設住宅避難者用の畑、ビニールハウスを提供した。近く鹿島中そばにもビニールハウスを建設する。
 大留さん(73)はビジネスホテル六角の経営者。東京電力福島第一原発事故で休業し、昨年3月から市民への支援物資配給を始めた。市内の商店が店を閉めたため、1日600人以上が列をつくったという。支援者の口コミで、物資は次々に集まった。6月からホテルの営業を再開した。商店がほぼ開いた10月からは借り上げ住宅避難者救済に重点を移し、約250軒を調べて配送している。
 ビニールハウス建設は、物資を支援してくれた全国の約600人に手紙で資金提供を呼び掛けた。元市議小林吉久さんは管理している畑を提供してくれた。
 小草の畑は約26アールで、ビニールハウスは約130平方メートル。整備に約60万円掛かった。ハウス利用は小池第3仮設住宅が中心で、入居者の蒔田利浩さんが耕作を呼び掛けている。その他の仮設住宅避難者も畑の利用ができる。
 28日はビニールハウスで贈呈式が行われ、14人が出席した。肥料を入れて耕してあり、すぐに野菜が栽培できる。大留さんが避難者に肥料、ホウレンソウ、インゲン、オクラなど各種の野菜の種を手渡した。農具も準備する。
 大留さんは「暖かいハウスを、触れ合いを楽しむ場にして、意欲も育ててほしい」と話した。小池第3仮設避難者の平均年齢は70歳以上。出席した高齢者は「すぐに豆やホウレンソウを植えたい」と笑顔で話していた。

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