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【「前線基地」の苦悩14】中間報告、甘さ指摘 連絡や対応 検証続く

通信機器やパソコンが置かれたオフサイトセンターの全体会議エリア=2日

 政府の原子力災害現地対策本部長を務めた衆院議員の池田元久は先月、厚生労働省の幹部を議員会館の自室に呼び出した。
 昨年9月、衆院厚生労働委員長に就き、東京電力福島第一原発事故に伴う除染や食品安全の基準値づくり、被災者の就職対策などに関わっている。前経済産業副大臣として避難区域の見直しにも助言している。
 「駄目じゃないか。これ以上の仕事があったのか」。池田は厚労省幹部を問い詰めた。政府の事故調査・検証委員会が中間報告で、取り組みの甘さを指摘したためだ。

■責任者不在
 厚労省は、大熊町のオフサイトセンターに設置した現地対策本部に、医療班責任者の職員を派遣することとされていた。しかし、震災発生の3月11日から21日まで派遣しなかった。池田は、中間報告の指摘で初めて知った。
 幹部は池田に説明した。「経産省本省には人を出したが、現地に医療班責任者を派遣する厚労省内の担当窓口への情報伝達が十分でなかった」
 池田は厚労委員長としても、元現地対策本部長としても、見過ごすことはできなかった。「そういう説明では通らない。未曽有の事故に認識が足りない。事実をはっきりさせ、再発しないような措置を取るべきだ」
 震災と原発事故の発生直後、原発立地町などの地元関係者は地震と津波への対応に追われた。ほとんどの町の担当者はオフサイトセンターに駆け付けることができなかった。地元、県、国の連絡調整が困難な状況に陥った。避難区域の指示や、避難ルート選定の参考になる放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」の情報は、現地対策本部どころか首相官邸の中枢にも入らなかった。
 「しっかり機能すれば安全に避難できたはず」。放射性物質が拡散した方角への避難を強いられた双葉郡の住民の不満は根深い。池田は「事前にまとめていたマニュアルが過酷事故を想定していなかったことや、SPEEDIが活用されなかったことなどを反省しなくてはならない。事故をしっかりと検証する必要がある」と受け止める。

■6項目の問題点
 政府の事故調査・検証委員会は中間報告に「オフサイトセンターの機能不全」との項目を設け、「今回、初動の段階で所与の役割を十分に果たすことができなかった」と批判した。
 池田も数々の課題があったことを認める。政府の現地対策本部が大熊町から県庁に移った後、池田は東京の原子力安全・保安院に出向いた。「東京から現地へ陸路での移動を予定していた」「通信機材が不十分で連絡に支障を来した」「大臣への報告が経産省内で留め置かれ、迅速に伝わらなかった」...。6項目の問題点を挙げ、保安院に改善を指示した。
 ただ、池田はオフサイトセンターを「機能不全」とした中間報告の内容には異論がある。「建物や設備に欠陥はあったが、現地対策本部の7つの担当班は機能していた。足りないことがあったのは事実だが、与えられた最悪の状況の中で最善を目指し、努力した」と強調する。
 池田は今、震災発生以来の1年間の出来事を反すうしている。「未曽有の原子力災害の中で現地対策本部がどのように対応し、どのように考えたのか記録にとどめる必要がある」。現地で活動した3月11日からの記憶や資料をたどり、「覚書」として書き留めている。だが、全容を詳細に把握できているわけではない。池田自身による検証はこれからも続く。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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