東日本大震災アーカイブ

今を生きる 教え子との再会心待ち 思い出集め卒業CD

教え子との再会を楽しみに卒業記念CDを見る江井さん

■いわき市 25日に「楢葉中3年生」の卒業を祝う会開催 江井寿隆さん(55)
 警戒区域にある楢葉町の楢葉中の3年生82人は震災後、全国の30校に分かれ、今春、それぞれ卒業式を迎えている。「楢葉で過ごせなかった中学校最後の1年間の空白を少しでも埋めてあげたい」。震災直前の2年時に学年主任だった江井寿隆さん(55)=いわき市平=は25日、いわき市のいわき明星大で卒業を祝う会を開く。教え子一人一人の顔を思い浮かべながら再会の日を心待ちにしている。
 江井さんは震災後、いわき市の平一中兼務を経て昨年12月から町教委楢葉中再開準備室に勤務している。この間、市内の学校に転入した生徒の心のケアなどに奔走した。急激な環境の変化に戸惑いながらも、懸命に笑顔を取り戻そうとする生徒の姿に胸が熱くなった。
 「祝う会」は保護者の賛同を得て企画した。郵送で連絡したところ約60人から参加の返事が届いた。長崎県大村市から戻ってくる生徒もいる。江井さんは「子どもたちは避難所で清掃などのボランティアに積極的に取り組んだと聞いた。1人でも多くの元気な顔が見たい」と話す。
 通常の卒業アルバムに代わる卒業CDも編集した。教員らが保管していた楢葉中での1、2年生当時の授業風景をはじめ現在、立ち入りができない町内外の事業所やスーパーなどでの職場体験、文化祭「ゆずり葉祭」などのスナップ写真を中心に約500枚を集録した。間もなく生徒に発送し、「祝う会」でもみんなで見る予定だ。
 楢葉中は楢葉北小、楢葉南小と共に新年度から、いわき市常磐西郷町の常磐銭田工業団地内の民間会社社屋に仮校舎を設け再開する。その後、いわき明星大所有地に仮設校舎を設け、早ければ3学期にも移転する計画。江井さんは「いつでも子どもたちが戻れるよう全力を尽くす」と誓っている。

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