東日本大震災アーカイブ

【24年産米 作付け】補助は、試験栽培は 国と市町村深い溝

 平成23年産米の放射性セシウムの検査で、ほとんどが1キロ当たり100ベクレル以下だった会津地方。しかし、4月から食品のセシウムの基準値が100ベクレル以下になり、消費者の目がさらに厳しくなると予想されることから、セシウム吸収を抑制する独自の安全対策に取り組む計画だ。ところが国の財政支援は打ち切られる公算が高まっている。一方、500ベクレル超のセシウムが検出されるなどで平成24年産米の作付けが制限される地域では、放射性セシウム検出の原因を究明するため、農林水産省は1農家当たり1カ所で試験栽培する考えを示した。だが、各市町村は全ての水田での試験栽培の必要性を訴える。地元の願いと国の方針には深い溝がある。

■安全アピール
 会津地方では24年産米の作付けに向け、セシウムの吸収抑制対策を取る方針の市町村が相次いでいる。消費者へより安全をアピールするためだ。
 吸収抑制効果があるとされるケイ酸カリウムは通常、10アール当たり2000円程度。23年は国の東日本大震災農業生産対策交付金で経費の半額が補助され、多くの農家がカリウム肥料を増肥した。
 しかし、検査の結果、セシウム濃度が低かったことから、県農林水産部は「24年産米に関しては補助が見送られる可能性もある」とみている。
 カリウム肥料を施肥する計画の会津坂下町は「セシウム濃度が比較的高い地域に予算を優先させたいという考えかもしれない。しかし、会津地方も東京電力福島第一原発事故の風評被害を受けている。支援がなくなるのはおかしい」と憤る。町村は交付金措置が打ち切られる場合、生産者に負担をかけないよう独自に予算を捻出し、セシウム吸収抑制対策を進める方針だ。
 JA会津みどりの長谷川正市組合長は「流通業者、消費者は安心感を求める。安全対策に万全を期す姿勢をアピールする必要がある」と強調し、国の財政支援を求めている。国の今後の対応が注目される。

■全地域で
 一部地域で23年度産米の放射性セシウムが500ベクレルを超え、約200ヘクタールは作付け制限をすることになった伊達市。1年後の25年産米の市内全域での作付けに向け、制限地域全ての区画で独自に試験栽培する方向で検討に入った。市の担当者は「水田によって水や土壌など環境は異なる。区画ごとに詳細に調べないと、なぜ高い放射性セシウムが検出されたのか原因が究明できず、25年の作付けに影響する」と訴える。費用は国、東京電力に請求する考えだ。しかし、同市農林課は「国の方針と異なる対応に補償が受けられるかどうかは分からない」との懸念が残る。
 同市は8日、試験栽培の必要性を訴える東大農学部の根本圭介教授をアドバイザーに委嘱した。根本教授は「汚染土壌での水稲栽培のデータは世界にない。水田ごとのカルテが必要だ」と力説する。それでも、農林水産省は「一部地域でデータを集めれば傾向はつかめる」と難色を示す。国との方針の違いをどう埋めるかが大きな課題となっている。

カテゴリー:3.11大震災・断面