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【中間貯蔵 政府要請】住民帰還に影響も 廃棄物減容化 国の実証試験道半ば

 政府から中間貯蔵施設の設置や災害廃棄物の受け入れを求められた双葉郡4町では、復興計画づくりが遅れ、住民帰還や産業再生などへの施策見直しを迫られる可能性も出ている。政府は除染技術を早期に確立して住民の帰還と郡内の復興を後押しする考えだが、課題は山積している。

■イメージダウン
 富岡町は住民帰還の時期を示す復興計画を5月中にも策定する方針で作業を急いでいる。復興計画の基本となる復興ビジョンには花き栽培などで農業を再生する目標を町関係者は掲げているが、災害廃棄物受け入れによるイメージダウンを危惧する。
 災害廃棄物を仮に引き受けた場合、町の土地利用などを再検討する必要もある。同町をはじめ放射線量が高い地域の避難区域の再編は4月以降に先送りされる見通しとなっており、復興計画づくりが想定通りに進むかどうかは不透明だ。
 中間貯蔵施設の設置を要請された大熊、双葉、楢葉3町では、現時点で復興計画などに中間貯蔵施設への対応などを盛り込む動きはない。今後の復興計画づくりは、施設設置を受け入れるかどうかの判断も絡み、紆余(うよ)曲折が予想される。

■完全除去できず
 政府は中間貯蔵施設の規模を抑えるため、昨年11月から警戒区域内などで民間企業の技術を活用した廃棄物減容化の実証試験に取り組んでいる。しかし、放射性セシウムを完全に除去するまでには至っていない。
 大熊町内などで実施している実証試験では放射性セシウムが吸着した土だけを取り除き、大幅に放射性物質濃度を下げることに成功した。それでも1割程度は残るという。
 「技術が未熟のまま施設を設置することになれば、住民の不安は消えない。帰還時期も遅れる」と、関係自治体からは懸念の声が上がる。

■再利用も不透明
 政府は、放射性物質を除去した土壌を中間貯蔵施設に持ち込まず、建築資材や元の場所に戻すなどして再利用する方針だ。しかし、再利用の仕組み自体も固まっていない。
 県産業廃棄物協会は、例え微量でも放射性セシウムが含まれた廃棄物への関係業界の抵抗感は根強いと指摘する。「安全性が示されなければ、行き場を失った廃棄物が次々に中間貯蔵施設や災害廃棄物の最終処分場に持ち込まれかねない」との見方も示し、国が安全性の根拠を具体的に示す必要性などを訴えている。

【背景】
 政府は10日、県、双葉郡8町村との協議会で中間貯蔵施設を福島第1、福島第二原発が立地する大熊、双葉、楢葉の3町に設置する考えを示し、協力を要請。福島第二原発が立地する富岡町には沿岸部などの災害廃棄物の受け入れを求めた。しかし、各町長は受け入れ判断を保留した。政府は昨年12月、双葉郡内で年間放射線量が100ミリシーベルトを超える1カ所に中間貯蔵施設を設ける案を示したが、まとまった用地を確保する見通しが立たないことなどから分散設置に方針転換した。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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