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今を生きる 93歳避難後も描く 安達太良山の大作完成 「年を取るのも忘れる」

避難先の二本松市でも絵画の創作に励む志賀さん

■浪江から二本松へ、県美術協会員 志賀ヨシさん

 安達太良山は3月半ばを過ぎても中腹まで雪に覆われる。近くの山々には柔らかな日が差す。東京電力福島第一原発事故で浪江町から二本松市油井の雇用促進住宅に避難している県美術協会員の志賀ヨシさん(93)は、季節が一巡りしたと感じた。
 部屋の一角に置かれた安達太良山の油彩画は、昨年3月末の入居後、一望できる近所で描いたスケッチを基に仕上げた。「恐怖と不安で落ち着かない中、無性に描きたくなった。道具も何もないので100円ショップで絵の具などを買ってスケッチを続けた」
 浪江町で生まれ育ち、県女子師範学校(現福島大)を卒業後、古里で小学校教諭を52歳まで務めた。退職後に本格的に絵画を始め、70歳を過ぎて「大潮展」で新人賞を受賞。表彰式では大学生と並んで賞状を受け、盛んな拍手を浴びたという。90歳を超えてなお、浪江絵画クラブの一員として活動してきた。
 長男夫婦と共に古里を離れ、二本松で暮らすようになっても愛好会「しゃくなげ画会」に入会した。安達太良山の絵は避難生活で初めて取り組んだ大作。自宅にはアトリエもあったが、今は限られた部屋の中で筆を執る日々を過ごす。
 一時帰宅の際、持ち出した作品を基に、春先から磐梯山の油彩画にも挑んでいる。「絵を描いていると年を取るのも忘れてしまう」とカンバスに向かう。

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