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残ったはさみと前へ 新築完成、オープン 「自分には、この道しかない」

新たに店舗兼住宅を構え再スタートを切った立谷さん

■相馬の自宅兼理容店を流失した 立谷幸一さん(58)
 東日本大震災の津波で相馬市原釜の自宅兼店舗を流失した理容業立谷幸一さん(58)は市内沖ノ内に自宅兼店舗を新たに構え、8日、オープンさせた。「前に向かって進むことしかできないのが自分の性分なんだ」。震災から1年を節目に新たな一歩を踏み出した。
 移転を機に店名を「理容たちや」から「ヘアスタジオ タチヤ」に改称した。妻定香さん(59)、長男陽一郎さん(33)と切り盛りしている。内陸側にある知人の土地を購入して再建し、2月下旬に仮設住宅から引っ越した。
 かつての自宅兼店舗は津波にのまれ、愛用のはさみ3本しか残らなかった。震災直後は福島市や伊達市などの避難先を転々とした。
 3月下旬に相馬市に戻り、知人の旧家を借りて暮らした。6月から大野台仮設住宅に入居した。「避難生活の間は大勢の友人、知人に支えてもらった」。相馬市に戻ってからは恩返しのため、避難所で散髪のボランティア活動を続けた。被災者らと接する中で「自分には、やはり、この道しかない」と理容店の再建を決意した。
 津波被災地の住民有志で組織した「東部再起の会」の事務局長も務めている。「自分の心はいつまでも浜にある」として、仲間と共に沿岸部の再興に力を注ぐ考えだ。「古里がどのような姿に復興していくのかしっかりと見届けたい」と誓っている。

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