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【専門家集団の模索2】支援やっと緒に就く 求められる事故解明

「年会」の会場には新技術の研究成果を展示した。本県復興の前提となる除染技術の開発は発展途上だ=21日、福井市

 放射性物質で汚れた環境修復の技術指導、放射線知識の普及...。日本原子力学会は19日から福井市で開いた「春の年会」で、本県復興への支援を強化する方針を打ち出した。「福島プロジェクト」と名付けられ、その取り組みは24年度に始まる。
 副会長の沢田隆は「7000人を超える会員の総力を挙げ、知恵と知識を発揮する仕組みを整えたい」と決意を語った。
 環境省と県が設置した除染情報プラザなどに会員を派遣し、学会が現地で活動する態勢づくりを目指す。
 学会の幹部によると、東京電力福島第一原発事故が発生して以来、本県の支援に直接携わった会員は100人程度にとどまるという。学会が半世紀にわたる歴史で培ってきた知恵や技術が、この1年間に十分に生かされたとは言い難い数字だ。

■未知の分野
 福島第一原発事故を受け、学会は内部の調査専門委員会に技術分析、放射線影響、クリーンアップの3つの分科会を設けた。
 原発などの原子力施設内での除染には、会員が所属する大学や専門機関、電力会社などが一定の研究成果や実績を残してきた。
 だが、未曽有の事故に伴う除染は規模も手法も大きく異なる。除染の対象は民家・工場・公共施設などの建物、道路、農地、山林などの多岐にわたる。汚染濃度も千差万別だ。わが国には住民の生活空間で大掛かりな除染が行われたことはない。
 「春の年会」で発表した研究者の1人は「被災地で今、進められている表土除去などのデータを分析している段階」と説明した。

■不満噴出
 学会として、福島第一原発事故そのものを解明することも求められている。「プロフェッショナル集団として、専門的な判断を示したい」。会長の田中知は報告の取りまとめに意欲を見せている。
 政府の事故調査・検証委員会は既に中間報告をまとめ、民間の福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)も報告書を公表した。学会は技術的な側面から事故による放射性物質の放出などの原因、影響などを明らかにする考えだ。
 だが、「春の年会」で、その取り組みが緒に就いたばかりであることを示す一幕があった。初日の特別シンポジウムで「原発事故に関する原子力学会の分析」をテーマとした報告があった。詰め掛けた会員や外部からの聴講者ら約500人が大きな関心を持って報告に聴き入った。
 ところが、発表内容は政府や産業界などによる調査項目の相違点を紹介するのみで、専門的な分析までには至らなかった。会場からは「志が低い」「がっかりした」など不満が相次いだ。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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