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【専門家集団の模索3】事故原因 進まぬ特定 判断材料 依然乏しく

東電の事故対応を報告した特別シンポジウム。参加者から疑問や指摘が相次いだ=19日、福井市

 「福島第一原発で地震による初期の損傷はなかったと考えている」
 日本原子力学会「春の年会」初日の19日、東京電力福島第一原発事故をテーマにした特別シンポジウムで、東電の原子力・立地本部の幹部ら4人が報告した。地震の直後に押し寄せた津波を事故の主たる原因とする見方だった。
 福島第一原発は地震で外部電源を喪失したが、東電の担当者は「津波到達まではプラントの安全性を維持できていた」と説明した。その理由には(1)原子炉が自動停止し、非常用ディーゼル発電機が起動した(2)プラントの計測データに異常がない(3)目視できる範囲では安全上の重要な設備に地震による損傷を確認していない-などを挙げた。
 「結論を出すのは時期尚早ではないのか」。報告後の討論で、会場にいた民間企業の研究者が指摘した。この研究者は大量の放射性物質を放出したとされる2号機について「津波以前の最大の負荷である地震によって、格納容器が破損した可能性は否定できない」と詰め寄った。
 だが、東電は格納容器の圧力を示す当時のデータなどを基に研究者の指摘を否定した。

■新たな事実
 東電は昨年12月、社内事故調査委員会の中間報告書を公表している。19日の特別シンポジウムでの発表も、大枠では中間報告書と同じような内容だった。
 ただ、東電が新たに示した事実もあった。事故発生から5日目の昨年3月15日に原発周辺の放射線量が急上昇したことへの見解だった。東電は「2号機の原子炉格納容器の上部にあるシール(封印箇所)が熱で損傷し、放射性物質が漏れ出した可能性が高い」との見方を示した。
 ただ、発表終了後、報道陣の質問に対して、東電の担当者は「どう漏れたか、はっきりしたことはまだ分かっていない」と最終的な結論は出ていないことを説明した。
 事故発生から1年が経過したが、東電や政府は原子炉の格納容器や圧力容器の内部を正確に把握できていない。東電の発表には「推定される」「思われる」などの語句がたびたび使われた。事故の原因や進展経過を十分に解明するには、依然として判断材料が乏しいことをうかがわせた。

■県民への説明
 東電は事故の収束に向けた取り組みと同時に、本県への賠償などを優先的に進めている。先に公表された中間報告書の内容を東電が直接、県民に示す機会はなかった。
 「春の年会」に参加した東電の原子力品質・安全部長の福田俊彦ら担当者は報道陣に対して「シンポジウムで発表した内容を説明する機会を考えなければならない」と本県で報告会などを開く考えを示した。しかし、開催時期を問われても「今後、検討する」との答えにとどまった。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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