東日本大震災

  • Check

【専門家集団の模索4】効果的な除染「限界」 新技術確立は長期化

JAEAは除染モデル実証事業で効果を検証している。新技術の確立には至っていないのが実情だ=昨年12月13日、伊達市

 「福島県内の汚れている場所を全て除染することはできない」「全体を年間1ミリシーベルト以下にすることは非常に困難」
 日本原子力学会「春の年会」初日の19日、東京電力福島第一原発事故をテーマにした特別シンポジウムで、日本原子力研究開発機構(JAEA)の研究者2人は、現在、県内で進められている除染作業の限界を示した。
 特別シンポジウムに続き、除染をテーマにした発表が相次いだ。しかし、同時に多くの課題が指摘され、本県の環境回復に向けた道のりの険しさを逆に浮かび上がらせた。

■現場で判断
 JAEA福島技術本部に所属する研究者の発表は、本県の避難区域を中心とした除染モデル実証事業だった。「新たな技術を開発する時間はなかった。農業や土木作業の技術を工夫して除染に取り組んでいる」。原発事故から1年余りの期間では効果的な技術を確立できなかった実情を説明した。
 実証事業は、土の反転や固形化による表土の取り除き、舗装の表面を剥がす方法などを中心に、作業の効果を確かめている。ただ、「万能」と言える手法は見つかっていない。土壌の厚さや住宅の素材などに応じて、現場で判断しているのが実情だ。
 現在、除染している場所は、広大な県土から見れば小さな「点」にすぎない。研究者は全県の除染は不可能との認識に立った上で、「水や風に運ばれる放射性物質の移動経路を解き明かし、長期的に対策することが必要だ」と訴えた。
 一方、放射線測定の取り組みを発表した研究者は、除染に対し住民と「妥協点」を見いだすことを提案した。「どんなリスク(危険)があるのかを理解してもらい、『そこまでのリスクなら住みたい』と判断できるような進め方をしなければ、復興は実現しない」

■水の行方
 「除染で発生した水を下流部で集めて処理するのか、その場所ごとに処理するのか。両論ある」。東大環境安全本部准教授の飯本武志は、除染作業で生じる汚染水の処理を発表した。
 住宅などの建物が並ぶ地域では、低い場所に水を集めて1度に処理する方が効率的だが、放射性物質が拡散する懸念がある。その一方、1軒ごとに水を処理すれば拡散を防げるものの、作業に時間がかかり、費用もかさむ、というのだ。
 環境省は既に除染の進め方などを盛り込んだ「除染関係ガイドライン」をまとめている。飯本は策定作業部会のメンバーを務めた。だが、ガイドラインには除染で出た水の回収・処理方法までは示されていない。飯本は発表後の報道陣の取材に対し「除染作業は、住民がどう考えているかが最も重要」と述べ、最終的には地域での話し合いを基に進めるしかない現状を説明した。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

「3.11大震災・福島と原発」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧