東日本大震災アーカイブ

相馬の味もう一度 高台に移転、オープン 松川浦の復興願い

再オープンした店舗前で地元の顔なじみと談笑する菊地さん夫婦

■飲食店「旭亭」経営 菊地征昭さん(70)・ヤス子さん(68)夫婦
 東日本大震災の津波で全壊した相馬市尾浜の飲食店「旭亭」を営む菊地征昭さん(70)・ヤス子さん(68)夫婦は旧店舗近くの高台にある自宅脇に店舗を移転し、営業を再開した。
 征昭さんは近くで散髪中、ヤス子さんは店内でつくだ煮を作っている時に震災に遭ったが避難して無事だった。昨年夏、松川浦の再興を目指す地元の旅館や飲食店の若手経営者らに声を掛けられ、市松川浦観光振興グループの一員として国、県の補助を受け店舗を再建した。征昭さんは「若い世代の熱気に後押ししてもらった。浜を離れて避難している住民が集える場所にしたい」と感謝する。
 3月24日に再オープンしたが、震災や東京電力福島第一原発事故の影響で地元の水揚げはない。新たに考案したホタテ飯をはじめ、ホッキ飯、焼き魚のツボダイなど県外産の素材を使ったメニューを提供している。ホタテとホッキ貝はかつて土産で口にして「おいしかった」と覚えていた北海道の水産業者から取り寄せている。
 インターネットを通じて再開を知った県内外のなじみ客が顔をのぞかせ、祝福してくれている。かつての店では征昭さん自らが漁に出て採ってきた自慢のアサリを使った炊き込みご飯やみそ汁が人気だった。「地元産のメニューを再び登場させたい」。松川浦の復興を信じている。

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