東日本大震災アーカイブ

がれき集積場 楢葉に2カ所 警戒区域初 国、来月にも2.5ヘクタール整備開始

 東京電力福島第一原発事故に伴い大部分が警戒区域になっている楢葉町の沿岸部2カ所で、国は5月にも東日本大震災で発生した災害がれきを分別・保管する大規模集積場の整備を始める。警戒区域へのがれき集積場の設置は初めて。今月末に予定される避難区域の再編で、町内の警戒区域は早期の住民帰還を目指す避難指示解除準備区域になる見通しで、復旧・復興への後押しになるとみられる。
 環境省や町によると、災害がれきの集積場は沿岸部の山田浜、波倉両地区の民有地合わせて約2・5ヘクタールに整備する。大半が水田で、町が1~2月に開いた行政区ごとの除染に関する説明会を経て、既に地権者の同意を得ているという。
 受け入れるがれきは町内限定で、沿岸部で津波被害を受けた125世帯の家屋のがれきなどを対象とする。がれきの量は地表で確認できるだけで約1万5000トンに上る。他にも地中に埋もれているがれきが多数あるとみられる。
 集積場で可燃物と不燃物に分別し、放射性セシウム濃度が1キロ当たり10万ベクレルを超える場合、国が設置を要請している楢葉、大熊、双葉3町の中間貯蔵施設に持ち込む。
 10万ベクレル以下は、管理型処分施設か仮設焼却炉で処理する計画。具体的な処理先は明らかになっていないが、災害がれきの処理をめぐって政府は、10万ベクレル以下の焼却灰と災害がれきを富岡町内にある民間の管理型処分施設で受け入れるよう富岡町に求めている。さらに、双葉郡の北部と南部に1カ所ずつ仮設焼却炉を設ける方針で、これらの施設の設置動向も見極めながら、検討が進むとの見方もでている。
 国直轄で5月に工事に入り、夏以降の受け入れ開始を目指す。町内の警戒区域は避難指示解除準備区域に再編後、インフラ復旧や家屋の解体作業など住民帰還に向けた取り組みが本格化する。町は国に協力してがれきの迅速な処理に当たり、復興につなげる考えだ。

カテゴリー:福島第一原発事故