東日本大震災

「連載・原発大難」アーカイブ

  • Check

帰還/川内からの報告(40)除染に「数字の壁」 農地、山林 手探りの前進

民家の除染作業は急ピッチで進められているが、限界も感じさせる

 空間放射線量毎時0.23マイクロシーベルト以下。
 川内村が復旧計画で示した除染の目標値だ。村内の建設会社などでつくる「村復興事業組合」に委託し、昨秋から作業を始めた。例年にない雪で遅れたが、学校、役場、診療所、教員宿舎に加え、子どもがいる23世帯の除染を終えた。
 民家の庭に重機を入れ表土を取り除く。屋根などは高圧洗浄機で洗い流す。高線量なら洗剤も加える。庭の木は枝打ちし、背後の山の表土も剥ぎ取る。敷地が400平方メートルを超える家も多く、一戸当たり延べ20人が従事して平均5~7日かかるという。
 「砂利を洗っても数値が落ちない」「草を削っても下がらない」。丁寧に作業を重ねても線量が目標値を下回らないケースもある。現場に立ち会う村の担当者は壁にぶち当たるような気持ちになる。確立したマニュアルがないのが悩みだ。村復興対策課除染係の三瓶義浩さん(36)は2人の子の親でもある。「村民が納得するまで徹底的にやる」と原因と打開策を探る。

 親の不安をどこまで減らせるかが鍵だ。
 川内小、川内中、かわうち保育園は通学路の除染が未了のため、近所の子どもを除き、スクールバス3台で送迎している。利用者の家とバスの停留所までの道は除染している。
 一方で村教委には保護者から「学校の線量は下がっても周囲は山。大丈夫か」という心配の声が寄せられた。川内小の校庭の放射線は、強風が吹き荒れた直後の6日午前も0.1マイクロシーベルトと大きな変化はなかった。石井芳信村教育長は「風が吹いても線量には影響がないようだ。安全を確保しながらきめの細かい教育に努めたい」と話す。
 除染は住民が戻りつつある旧緊急時避難準備区域は村が、宿泊が許可されていない避難指示解除準備区域と居住制限区域は国が担当する。村の管轄は961世帯。住宅の除染と並行して農地の土壌調査も進める。400カ所で線量を測りゼオライト散布などの除染作業に移る。今年度の稲作は自粛となったが、「実証水田」での試験栽培を計画している。ただ20日の村農業委員会総会では「来年の作付けに間に合うのか」と懸念の声も出た。
 広大な山林の除染も控える。間伐が主になるが、効果的な手法は示されていない。むやみに木を切れば土砂災害なども懸念される。手探りの前進が続く。
 「自分で切った枝はどう処理するのか」「まきストーブで出た灰は保管するのか」。今月上旬、帰村者向けに開かれた行政懇談会では放射線に関する質問が相次いだ。戻る住民が増えれば、さらに問い合わせが増えると予想される。村復興対策課除染係の横田正義係長は「1日も早く3・11前の川内に戻したい。そのためにも丁寧な除染を進める」と前を見詰めている。

カテゴリー:連載・原発大難

「連載・原発大難」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧