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【住宅表土の現場保管】年内除染 黄色信号 住民と協議難航 渡利地区は計画の2割

民家敷地の表土を削り取り、密閉容器に入れる作業員=23日、福島市小倉寺の民家

 住宅の除染で出た土を敷地内で保管する「現場保管方式」が難航している。国の除染ガイドラインで推奨する保管方法だが、福島市の渡利地区では、敷地に残すことに抵抗感を示す住民との協議に手間取り、計画の2割程度しか進んでいない。南相馬市では除染土を敷地内に埋める計画が周辺住民の反対で頓挫した。郡山市では公園内への保管を求める声があるが限界も。仮置き場が確保できない中、保管方法の試行錯誤が続く。

■抵抗感

 福島市が除染に取り組んでいる市内渡利地区の住宅地。剥ぎ取った表土を約40リットルの密閉容器に入れ、地中に埋めていく。地形的に埋められない場合は容器を積み重ね、周囲を土のうで覆う。庭に埋めた同地区の農業女性(84)は「玄関先の放射線量が10分の1となりありがたい」としながらも、「できるだけ早く運び出してほしい」と本音を漏らす。
 福島市は2月から空間放射線量が高い市内渡利地区の住宅約6600戸を対象に「現場保管方式」で除染をスタートさせた。3月中には727戸で除染を終える計画だったが、4月16日現在、178戸にとどまっている。目標の年内全戸完了に黄色信号がともる。
 市職員らが除染対象の住宅の家人に現場保管方式について説明すると、自宅敷地内に残すのを嫌がったり、埋める場所に納得がいかなかったりしてなかなか承諾が得られないためだ。
 実際に掘ってみると、水が出たり、石がいっぱいで穴が掘れなかったりと、庭の形状などが家ごとに異なるため、手間取る事態も起きている。市担当者は「理解を得ながら、着実に作業を進めるしかない。地区に仮置き場さえあれば、一気に除染作業が進むのだが」とため息をつく。

■頓挫

 南相馬市は今年1月、空間放射線量が比較的高い市内原町区高倉地区の住宅17戸を先行して除染対象とした。
 福島市と同様に住宅の敷地内に除染土を埋める方式で実施する計画を立て、住民も1日も早い除染を望み、全戸が承諾した。しかし、付近を通行する住民から反対の声が上がった。市は安全性を説明したが、理解が得られず、現場保管方式を断念。市内にある国のモデル除染用の仮置き場に一緒に保管してもらうことにした。
 ただ、あくまで一時的な措置で、現場保管方式のめどが立たない中、平成24年度の住宅除染が始められないでいる。市の担当者は「仮置き場の設置に向けて全力を挙げたい」としている。

■埋める場所ない

 郡山市は町内会単位で通学路などを除染した土を、近くの公園に埋設する方法を推奨し、市が公園を除染した際に、一緒に埋めるなどして処理している。
 ただ、公園の除染が既に終わっていたり、近くに公園がなかったりなどの理由で除染土の行き場がない地域もある。除染作業で出た汚泥を近くの公園に仮置きしている市内中心部の町内会の男性役員(67)は「周辺の住民は不安なはず。早く公園に埋設してほしい」と訴える。
 市の担当者は「公園の除染が終わってしまっても、空いているスペースに新たに除染で出た土を埋めることも検討している。住民の除染作業のやる気をそいでしまわないよう、公園への埋設の要望にできるだけ応えたい」と話している。

【背景】
 国は除染作業で出た土壌を最終処分するまでの間、適切に保管するよう昨年12月にガイドラインを示した。(1)除染した現場で保管する「現場保管」(2)市町村やコミュニティー単位で設置した仮置き場で保管(3)中間貯蔵施設で保管-の三形態がある。福島市が昨年から大波地区で行っている除染では、仮置き場が確保できたが、渡利地区では住民の理解が得られず仮置き場がないまま2月に除染をスタートさせた。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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