東日本大震災

「3.11大震災・断面」アーカイブ

  • Check

【汚染重点調査地域の市町村】新除染計画 策定ゼロ

 国の財政支援を受け除染事業を実施する「汚染状況重点調査地域」の指定を受けた県内の市町村で、放射性物質汚染対処特別措置法に基づく新たな除染実施計画づくりが進んでいない。28日現在、策定した市町村はゼロ。実施計画に盛り込む放射線量の計測時期をめぐり、直近のデータを採用して除染対象地域を狭めようとする環境省と、それに反発する市町村の協議が難航しているためだ。

線量、直近に限定 対象狭める国へ反発

■協議平行線

 放射性物質汚染対処特措法を受け、市町村は現行の除染計画から法律に基づく新たな除染実施計画に移行する。除染の財政支援対象はともに毎時0.23マイクロシーベルト以上(年間積算線量1ミリシーベルト以上)の地域としているが、国は移行に際し、直近の測定値を活用するよう打診してきた。自然減衰で0.23マイクロシーベルトを下回っている場所の除染は不必要-との姿勢だ。
 「内容は変えずに移行できると思っていたのに...」。昨年9月に計画を策定した大玉村の原発対策班の職員は困惑の色を隠さない。6月末の測定では9割以上の世帯が毎時0.23マイクロシーベルトを超え、既に村民に対象地域を公表している。しかし、現在は全体の7割程度に減った。「対象地域が狭まってしまえば不公平感が残る」。従来の計画通りの財政支援を訴えるが、昨年12月から続く新計画策定の協議は平行線をたどる。
 現在の計画のままでも除染費用の助成は受けられる。ただ、政府は法律に基づく新計画策定を求めており、いつまで現状通りの支援を受けられるかは不透明だ。市町村には不安が渦巻いている。

■費用抑制見え隠れ
 環境省は国が費用を負担するとした除染メニューの見直しにも着手した。今年1月下旬、年間積算線量5ミリシーベルト以下の地域にある民家の屋根の高圧洗浄は線量低減効果が低いとして、財政支援の対象外とする方針を市町村に打診した。自治体の反発で当面継続される見通しとなったが、県除染対策課は「あり得ない話だ」と憤る。
 汚染状況重点調査地域の41市町村のうち、3月末時点で除染対策事業交付金を申請したのは27市町村で、総額は申請ベースで約274億円に上る。今後、さらに増える見通しだ。国が直轄で除染する警戒、計画的避難区域(区域再編後も含む)の事業費は1兆円を超す。
 そうした中、放射線量の計測時期を直近に限定し、除染対象地域を狭めようと動く国の姿勢に、ある村の除染担当職員は「費用を抑えようとする国の思惑が見え隠れしている」と指摘する。
 「除染費用を削るつもりなのか」。ある自治体の担当者は環境省の職員を問いただした。職員は「財務省から除染費用を抑えるよう求められている」と打ち明けたという。

【背景】
 「汚染状況重点調査地域」の指定を受けた県内41市町村のうち、現行の除染計画をつくっているのは線量が比較的低い県南、会津地方の一部を除く33市町村。放射性物質汚染対処特別措置法に基づく新たな除染実施計画への移行について、環境省は当初、平成23年度末までを予定していた。

カテゴリー:3.11大震災・断面

「3.11大震災・断面」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧