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【放射線対策(上)】広域除染不可欠 山林人海戦術頼み

実証事業の除染結果を聞く山木屋地区の住民=4月26日、川俣町

 国が計画的避難区域の飯舘村と川俣町山木屋地区で実施した除染モデル実証事業は、局地的には空間放射線量を低減することはできた。しかし、地域全域の線量をいかに下げるかは今後の課題だ。避難区域の再編・解除で役場機能が戻った川内村や広野町では、除染しても思うように線量が下がらない所も。重機などが入れない山林の除染も難題だ。

■限界
 国の除染モデル実証事業は、飯舘村が草野地区の約17万3000平方メートル、川俣町山木屋が坂下地区の約11万平方メートルの範囲で行われ、田畑や庭、道路などを除染した。
 飯舘村草野地区の宅地庭では、下草刈りと表土剥ぎ取りを行い、高さ1メートル地点の空間線量は毎時4.34マイクロシーベルトから2.37マイクロシーベルトに下がり、低減率は45%だった。
 一方、同じように除染した川俣町山木屋坂下地区の宅地庭では、高さ1メートルの空間線量は毎時2.43マイクロシーベルトから1.82マイクロシーベルトと低減率は25%にとどまった。
 環境省の担当者は「局地的に大幅に減る地点はあるが、植木や鉢植えのある庭などでは、除染しきれないポイントが出てしまう。対象区域全域の低減率を平均化すると、減少幅は縮まってしまうようだ」と分析。「より広域に除染をしなければ、大幅な減少は見込めない可能性がある」としている。
 川俣町山木屋の本格除染について環境省は、住環境を中心とした除染計画を打診した。しかし、山頂からの除染を求める自治会から反発の声が上がっている。4月26日に自治会と国との会合が開かれたが、結論は先送りされた。

■減少幅小さい
 川内村は3月26日に役場機能を村内に戻し、住民が居住している旧緊急時避難準備区域の除染は村が進めている。学校や役場、診療所、村内に通学する子どもがいる家庭などの除染は終わり、現在はその他の住宅で作業を行っている。昨年11月に毎時0.5マイクロシーベルト前後あった学校付近は0.1マイクロシーベルトまで下がった。
 目標は0.23マイクロシーベルト以下。村によると、屋根の洗浄は20センチ以下の距離で噴射すると半分に、雨どいはぬれた布で拭き取ると90%少なくなる効果が確認された。ただ、雨どいから土砂に雨水が流れる箇所では、校庭で実施した5センチより深く土砂を剥ぎ取る必要があった。
 草があると線量が下がりにくい傾向がみられ、中には所定の作業を実施しても思ったよりも下がらず原因が明確には特定できないケースもあるという。
 昨年9月30日に旧緊急時避難準備区域が解除された広野町役場周辺の今年2月ごろの放射線量は毎時0.4マイクロシーベルトだった。その後、庁舎前の全ての芝生を剥がし庁舎を高圧洗浄機で除染した結果、現在は数値がほぼ半減し毎時0.18~0.17マイクロシーベルトまで下がった。一方、山林に隣接する住宅周辺は除染後も放射線量が下がる幅が小さいとの指摘がある。

■重機入れない
 4月7、14の両日、福島市の弁天山公園で行われた除染活動。市と県の呼び掛けに市民や全国のボランティアら延べ約900人が公園内の落ち葉や腐葉土の収集、枯れ枝などの除去作業に取り組んだ。
 7日の作業では、90リットルのゴミ袋で約3500袋分が集まり、1センチで毎時2.23マイクロシーベルト、1メートルが同1.76マイクロシーベルトあった空間線量が3%から38%低減した。市は「落ち葉などを拾い集めるだけでもある一定の効果があった」としながらも、「地形によってはあまり効果がなかった場所もあった」と分析する。
 山林で重機が入れない同公園は人の手による除染作業が不可欠で、人海戦術に頼らざるを得ないのが現状だ。担当者は「今後もボランティアの手を借りて除染を進めたい」と話す。
 一方、福島市の観光名所・花見山の除染はまだ手付かずの状態だ。花見山は私有地の上、斜面に植えてある花木に配慮した除染作業が求められるなど課題も多い。市の担当者は「地域でつくる支援団体と除染の方法や時期などを協議している段階」とし、まだ明確な答えは出ていない。

カテゴリー:3.11大震災・検証

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