東日本大震災

「3.11大震災・断面」アーカイブ

  • Check

【県産米の全袋検査】機器不足、出荷遅れ懸念 県配分決定生産者意識と隔たり

 東京電力福島第一原発事故を受けた平成24年産米の放射性物質検査で、県が導入するベルトコンベヤー式検査機器150台は各市町村の過去の生産量に基づき配分される。市町村やJAは「台数が足りない」と出荷時期が遅れることを懸念する。検査機器の追加を求める声が上がっているが、県が予算を増額するのは難しい状況だ。

■生産量に応じ
 県は平成22年産米の生産量を参考に、作付けを行っていない双葉郡の6町と檜枝岐、飯舘の二村を除く51市町村の配置台数を決めた。1台の町村が目立つ一方、3市が10台を超える。郡山市の17台が最多となっている。
 1台の処理能力は1分間に2袋(1袋30キロ)ほどで、早場米が収穫される8月下旬から年末までの約4カ月で検査を終えたい考えだ。
 こうした県の方針と、いち早く出荷したい生産者の意識に大きな隔たりが生じている。大半のJAが検査機器の追加を要望している。JAみちのく安達管内の二本松、本宮、大玉の3市村への割り当ては計9台だが、同JAは17台を求めている。消費者に「新米」としてアピールするには11月いっぱいが限度とみているが、出荷は最大で2カ月程度遅れ一部が12月にずれ込む可能性があるという。
 担当者は「検査が長引けば産地の存続に関わる」と危機感を募らせる。3市村の首長らは22日、農林水産省に検査機器を増やすよう要望する。
 4台が配置される会津坂下町。22年産の収穫量を基に計算すると、1台当たりの検査量が3186トンで浅川町に次いで2番目に多い。4台をフル稼働させても終了までに110日程度かかり、出荷業者の多くが望む秋口の出荷に間に合わなくなる懸念がある。
 町は比較的収穫量が少ない金山町の検査が終わり次第、機器を借りる予定だが、機器が入る時期は不透明で綱渡りの対応となる。「いち早く出荷したいのに検査が滞り、順番待ちになる恐れもある」(JA会津みなみ)との声も出ている。

■多額
 県は機器1台当たりを2000万円と見込み、「ふくしまの恵み安全・安心推進事業」の予算約50億円のうち、30億円を購入費に充てる。残り20億円は野菜や果樹用の測定機器の購入費、農産物安全管理システムの構築費など使途が決まっており、予算増額は難しい状況だ。
 二本松、本宮、大玉の3市村とJAみちのく安達などの関係団体は自主財源で購入も検討している。しかし、機器が高額な上、東京電力の賠償の対象となるかは不透明で、判断を決めかねている。
 あるJAの担当者は「今年の検査体制がいつまで続くか不明。購入には慎重になってしまう」と打ち明ける。


【背景】
 東京電力福島第一原発事故を受け県は昨年、収穫前後にコメの放射性物質検査を実施した。この結果を踏まえ、10月には佐藤雄平知事が県産米の「安全」を宣言。しかし、県北地方の農家から暫定基準値(当時)の1キロ当たり500ベクレルを上回るコメが見つかり、県内ほぼ全域の緊急再調査を実施、一部地域で出荷停止となった。佐藤知事は今年1月、全袋を対象とした自主検査体制を導入すると発表し、ベルトコンベヤー式検査器150台を確保する考えを明らかにした。政府は4月、緊急再調査を受けて24年産米の作付け制限区域と、全袋検査を条件に作付けできる事前出荷制限区域を設定した。県は両地域以外について、モニタリング検査を実施した上で全袋対象の自主検査を実施するよう求めている。県内では原発事故により双葉郡8町村と南相馬市、飯舘村の全域でコメの作付けが行われていない。

カテゴリー:3.11大震災・断面

「3.11大震災・断面」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧