東日本大震災

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減容化開始...課題多く 増え続ける下水汚泥 仮置き処理に数年

ビニールハウスの中に積まれる減容処理された乾燥汚泥=白河市・白河都市環境センター

 東京電力福島第一原発事故に伴い、県内の下水処理場で汚泥の仮置きが続く中、減容化の取り組みが始まった。白河市の白河都市環境センターでは汚泥乾燥機2台が稼働し、国見町の県北浄化センターと福島市の堀河町終末処理場も導入を計画している。ただ、これまでにたまった汚泥を処理するのに数年かかる見通しで、最終処分先が決まらず、住民が設置に難色を示すケースも。関係者からは、除染で出る廃棄物を保管する中間貯蔵施設への汚泥搬入を求める声が上がっている。

■汚泥乾燥機を導入 

 白河都市環境センターは市の施設で、同市と西郷村の下水処理を行っている。発生する汚泥は1日約10トン。
 市はたまり続ける汚泥の量を減らすため、県内の市町村に先駆け、約1億7200万円を投じて汚泥乾燥機2台を導入し、4月から稼働を始めた。費用は東電に請求する方針だ。
 乾燥機は毎時0.5トンの処理能力があり、脱水汚泥の体積を三分の一に減らせる。1台は1日約10トン発生する汚泥の処理に、もう1台を昨年から敷地内に置かれた仮置き分の処理に充てている。
 ただ、毎日発生する分の汚泥はその日のうちに減容化が可能だが、仮置きしている推定2600トンの処理には、1日8時間作業したとしても、約2年はかかる計算だ。

■一点張り

 減容化した乾燥汚泥は二棟建設されたビニールハウスに運んでいるが、順調に処理が進むと、約半年後にはいっぱいになる。市の担当者は「最終的な処分方法や場所が決まらない限り、随時ビニールハウスを増設しなければならなくなるのではないか」と懸念する。
 放射性物質汚染対処特別措置法では、放射性セシウムが1キロ当たり8000ベクレルを超える廃棄物を指定廃棄物として国が処分し、8000ベクレル以下の場合、市町村が処分することになっている。乾燥汚泥の放射性セシウムは1キロ当たり600ベクレルから800ベクレルと国の基準を大幅に下回っているが、再利用するにも100ベクレル以下でないと引き取ってくれない業者がほとんどだという。
 市は国が設置を検討している放射性廃棄物の中間貯蔵施設に汚泥を置けないか、昨秋環境省に打診したが、「基準以下の下水汚泥は対象外」と回答があった。その後も機会をとらえて苦しい現状を訴えているが、国は「(8000ベクレルという)指針は既に出している」の一点張りだ。
 市の関係者は「乾燥機導入はある意味で『延命措置』でしかない。国が根本的解決に向けた方策を示さないことで、現場を預かる各自治体が今後どうすべきか、見通しを持てないことが一番の問題」と指摘する。

■反対意見相次ぐ 

 県が国見町に設置している県北浄化センターも、汚泥を乾燥させて減容化する設備をセンター敷地内に設置する方針だ。しかし、23日に地元住民向けに開いた説明会で、住民から「汚泥の搬出が先決だ。保管の長期化につながる」と反対意見が相次いだ。
 センター設置時、県は汚泥は全て搬出すると約束しており、保管自体に根強い反発がある。減容化の設備設置を認めれば、保管を容認したことになるためだ。
 センターが保管している汚泥は10日現在、約1万4500トンで、1日約40トンずつ増えている。敷地内の駐車場などに専用テントを張って中に保管しているが、限られた敷地内でテントは増える一方だ。
 関係者の一人は「搬出を最優先で考える立場には違いはないが、何らかの対応を取らなければ、いずれ行き詰まる」と危機感を募らせる。

■重い負担

 10日現在で約2130トンの汚泥が保管されている福島市の堀河町終末処理場。汚泥の一部が1キロ当たり8000ベクレルを超えており、国が処理に責任を持つことになっている。国は平成24年度内にも敷地内に汚泥の減容化設備を完成させ、25年度の稼働を目指す。
 設置費用の約30億円は全て国が負担する。1日24時間稼働させるための職員も国が配置する見通し。市の担当者は「一つの自治体で整備するのは財政的にも人員的にも厳しい。独自にはとても無理」と打ち明ける。
 県内では財政負担を理由に減容化設備の導入に二の足を踏んでいる自治体もあるという。

■背景

 県と市町村が設置している下水処理施設31カ所で汚泥が処理できずに保管されている。保管量は4月20日現在、3万8690トンに達している。国の基準では1キロ当たり8000ベクレル以下であれば汚泥などを管理型処分場で埋設可能だが、処分場の周辺住民の反対で埋め立てができない状況が続いている。8000ベクレルを超える汚泥などは国が処理することになったが、処分先が確保できず、排出業者が保管している。10万ベクレル超の汚泥は中間貯蔵施設に保管される。

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