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今を生きる 音楽の力信じライブ 悲しみ、希望胸に全国へ

思いの全てを音楽に込める渡辺さん

■川内生まれ富岡育ちのミュージシャン 渡辺俊美さん45
 川内村で生まれ、富岡町で育ったミュージシャン渡辺俊美さん(45)は、これまで以上に古里を見詰め、自分と向き合いながら音楽活動に励んでいる。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で古里は大きく傷ついた。悲しみと怒り、復興への願い、希望...。さまざまな思いを胸に、全国に歌を届ける。
 渡辺さんはヒップホップユニット「TOKYO No.1 SOUL SET」でギター、ボーカル、サウンド・プロダクションを担当している。ソロユニット「THE ZOOT16」でも活動中だ。本県出身者でつくるバンド「猪苗代湖ズ」で支援ソング「I love you&I need you ふくしま」を歌い、昨年末のNHK紅白歌合戦出場もした。
 富岡町の実家は福島第一原発から7キロ。警戒区域に指定され、立ち入ることはできない。その現実を受け止めるまで、時間がかかった。原発があるのを当たり前に思って育ってきたし、多くの同級生が原発関係の仕事に就いていたので、なおさらだった。福島に帰るたび、怒りと悔しさ、もどかしさを感じた。一方で、前に進まなくてはとも思う。どうしたらいいんだろうと考え続けた。
 自分には何ができるのか-。たどり着いた答えはやはり音楽だった。「気持ちを音楽に乗せて伝えるのが大事。それは僕の生き方そのもの。音楽の力を信じている」。震災前、県内でのイベントに参加する機会は多くなかった。しかし、今は小さな催しにも積極的に出演し、県民と触れ合う。13日には三春町で開かれた被災ペットの支援イベントに足を運んだ。
 震災と原発事故が風化してしまわないよう、県外でのライブでも必ず福島のことを話す。「何も行動を起こさなかったら駄目だと日々、言い聞かせている。震災が僕を成長させてくれた」と言う。古里と共に歩む決意は固い。
 「昔は東京が1つの大きな目標であり、夢だった。でも今は福島がでっかい夢になっている。その思いにこれからも丁寧に接していく」と思っている。

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